漏水調査は、目に見えない配管のトラブルを特定するために行う専門的な調査です。
ここでは、実際の現場でどのような手順で進められているのかを、わかりやすく説明します。
🟩 はじめに
水道代が急に増えたり、井戸ポンプが頻繁に動いたりすると、「どこかで漏れているのでは?」と不安になる方も多いと思います。
しかし、漏水の場所は目に見えないことが多く、「どんな調査で見つけられるのか」「どのくらい時間がかかるのか」など、具体的な流れをイメージしにくいものです。
このページでは、当社に寄せられるご質問の中から特に多い「漏水調査はどんな手順で行うのですか?」という内容についてお答えします。
全体の流れが分かるように、**概要 → 補足(詳細)**の順でご紹介します。
🟩 ご質問
漏水調査はどのような手順で行われるのですか?
🟩 ご回答
漏水調査は、建物や敷地内のどこで水が漏れているかを正確に突き止めるために行う専門的な調査です。目に見えない配管内部や地中などの漏れを探すため、専用の測定機器を使って段階的に進めます。
基本的な流れは、次の三つの段階で構成されています。
🟦 調査の流れ
1️⃣ 初動調査
屋内外の設備や配管の状態を確認し、漏水の有無と範囲を把握します。水道メーターや圧力計を使用して漏水量を確認し、調査対象を絞り込みます。
※この段階では、目視や音聴による一次判定が中心です。
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2️⃣ 本調査
音聴調査やトレーサーガス調査を行い、地中や壁内などの見えない部分で発生している漏水箇所を特定します。現場の条件に合わせて複数の調査手法を組み合わせ、より高い精度で位置を割り出します。
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3️⃣ 修理・通水・最終確認
特定された箇所を修理し、通水によって配管内を洗浄したのち、再度漏水がないことを確認します。最後に、水道メーターや圧力計で動作を確認し、調査完了となります。
🟦 まとめ
このように、漏水調査は「確認 → 特定 → 修理・再確認」という流れで進みます。調査内容は漏水量や設備構成によって異なりますが、いずれも目に見えない漏れを可視化し、確実に止水することを目的としています。
🟩 補 足
🟦 第1段階|初動調査(状況確認・音聴調査)
現地で漏水の状況を確認し、調査範囲を把握します。水道メーターや圧力計で漏水量を確認し、屋内外の水まわり設備や露出配管から異音がないかを調べます。この段階では、漏水が「屋内側か屋外側か」を見極めることが主な目的です。
初動調査はおもに「水道メーターで漏水量の確定→屋内音聴調査→屋外音聴調査」の順に行います。
🔷 1.漏水量の確認
水道メーターのパイロット部や指針の動きを確認し、1分間あたりの漏水量を測定します。

[写真:水道メーターを使用して、1分間あたりの漏水量を確認している様子。測定結果をもとに、調査方法や使用する機器を判断します。]
🔷 2.屋内音聴調査
露出配管や水栓本体に音聴棒を当て、伝わってくる音から漏水音の有無を確認します。

[写真:屋内音聴調査の様子。音聴棒を露出配管に当て、伝わってくる音から漏水音の有無を確認しています。近くの配管で漏れがある場合は、管を通じて特徴的な音が響きます。]
🔷 3.屋外音聴調査
地面や外壁、露出配管、外水栓などに音聴マイクや音聴棒を当て、漏水音が伝わっていないかを確認します。

[写真:壁面音聴調査の様子。音聴マイクを壁面に当て、壁内の水道管から漏れ出す音がないかを確認しているところです。壁内部での微細な漏水の有無を判断するために行う作業です。]
🟦 第2段階|本調査(路面音聴調査・トレーサーガス調査)
初動調査で範囲を絞ったあと、まず路面音聴調査を行い、地中に響く漏水音がないかを確認します。この段階で音による特定が難しい場合は、微細な漏れにも反応するトレーサーガス調査を行い、配管内に検査用ガスを注入して漏れを検知します。
トレーサーガス調査は、目に見えない地下漏水でも高い精度で位置を特定できる方法です。ガス検知器によって濃度の変化を確認することで、漏水位置を正確に把握することが可能です。
検知結果は、再度路面音聴調査で音の反応を確認しながら照合し、最終的な漏水箇所を確定します。この段階では、音やガスの反応を組み合わせて“漏水箇所を確実に特定すること”が目的です。
🔷 1. 路面音聴調査
路面マイクを地面に当てたり、音聴棒を地中に差し込んだりして、地中に響く漏水音がないかを確認する調査方法です。

[写真:路面音聴調査の様子。地中に伝わる漏水音を、路面用マイクや音聴棒を使って確認しています。聴き取った音だけでなく、周波数や音域の変化を数値として分析し、漏水の有無を判断します。]
🔷 2. トレーサーガス調査
水道管内にトレーサーガスを注入し、地表に浮上したガスを検知して漏水箇所を特定する調査方法です。

[写真:トレーサーガス調査の様子。建物外周部でガス検知器を地面に当て、地中から浮上するガスの有無を確認しています。]

[写真:トレーサーガス調査の様子。外水栓柱へと繋がる水道管からガス漏れがないかを検知器で確認しています。]

[写真:トレーサーガス調査の様子。検知器で測定したガス濃度をもとに、漏水の有無や位置を確認しています。]
🟦 第3段階|修理・通水・最終確認
漏水箇所を特定したら、掘削して修理を行います。修理後は通水を行い、水道管内を洗浄しながら正常な水圧と水流を確認します。最後に水道メーターや圧力計で漏水が止まっていることを確認し、調査完了となります。
🔷 1. 漏水修理

[写真:修理後の復旧の様子。現場で使用されている管種に合わせて適切な材質を選び、配管の修理を行っています。]
🔷 2. 通 水

[写真:通水作業の様子。漏水修理後に水道管内へ通水し、残留しているガスや空気を押し出しています。外水栓などの末端部から順に通水を行い、水が空気を含まない状態になるまで丁寧に確認します。]
🔷 3. 最終確認

[写真:水道メーター確認の様子。パイロットや指針の動きが完全に停止していることを確認し、漏水がないことを判断しています。]
🟩 まとめ
漏水調査は、「確認 → 特定 → 修理・再確認」という三段階の流れで進めます。音がしない微細な漏れでも、複数の手法を組み合わせることで正確な特定が可能です。
当社では、現場の条件に応じてこれら三段階の調査を組み合わせ、最小限の破壊で確実に漏水箇所を特定しています。水道代の増加や井戸ポンプの頻繁な作動などの異変を感じた場合は、早めの調査をおすすめします。
🕓 更新日:2025年11月3日
※ 掲載内容は、現場での手法や設備状況の変化に合わせて随時見直しています。
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