🟩 施工事例:千葉県成田市|コンクリート駐車場下の微細漏水をハイブリッド調査で特定&修理
◾ 千葉県成田市|分譲地|戸建住宅|水道水|生活用水
◾ 漏水の数:1箇所(宅地)
◾ 機器の不具合:なし
◾ 調査日数:2日間
◾ その他:在来浴室(防水モルタル仕上げ)
🟩 はじめに
本記事は、千葉県成田市の分譲地に建つ築30年以上の戸建住宅で実施した漏水調査・修理の記録です。
建物外周部はコンクリート駐車場として全面打設されており、地表から水が浮き上がらず、漏水箇所を目視で確認できない難しい条件でした。
さらに浴室は在来工法による防水モルタル仕上げで、トレーサーガスが地表へ浮上しにくく、一般的な音聴調査だけでは特定が困難な現場でした。
本記事では、こうした複合条件のもとで音聴調査とトレーサーガス調査を組み合わせたハイブリッド調査を実施し、コンクリート下の微細漏水を非破壊で特定した経緯を紹介します。
🟩 ご依頼の経緯
施主様は、水道検針で「メーターが常時回転している」と指摘を受け、水道料金が急増していることから漏水を疑われました。
宅内外を点検しても水の出ている箇所が見つからず、設備業者に相談したところ、「コンクリート下は調査ができない」との回答で依頼先を探されていました。
最終的に、トレーサーガス調査と音聴調査を併用できる当社へご相談をいただき、正式な調査となりました。
🟩 現場状況
建物前面は駐車場としてコンクリートで全面被覆され、その下を給水管が通る構造でした。配管は築30年以上経過したVP管で、地盤は粘性土のため水はけが悪く、漏水しても地表に現れにくい条件が重なっていました。
このため無闇に破壊して掘削できず、まずは音聴調査で傾向を把握し、トレーサーガス調査を段階的に併用して破壊範囲を最小限に抑えつつ特定に至りました。
🟦 設備構成と築年数
現場は、母屋および屋外設備を含む一般的な戸建構成でした。築年数が経過しており、配管や継手の経年劣化が進行していると考えられる環境でした。
調査対象となった住宅の主な設備構成は以下のとおりです。
◾ 家屋構造
・ 木造2階建て住宅
◾ 築年数
・ 約30年以上
◾ 設備構成
・ トイレ:1箇所(ロータンク式)
・ 洗面化粧台:1箇所
・ 台所:1箇所
・ 浴室(サーモスタット式シャワー水栓):1箇所
・ 洗濯機水栓:1箇所
・ 給湯器:1基
・ 外水栓柱:1箇所
🟦 参考
◾ コンクリート厚:約20cm
◾ 土質:粘性土(保水性高く、地表に出にくい)
🟩 調査前の確認工程
調査前に、宅内外の設備機器を一つずつ確認しました。
築年数が経過した住宅では、トイレやシャワー水栓など器具側の止水不良が原因でポンプやメーターが動き続けることがあるためです。
1️⃣ トイレ(ロータンク式)では、ボールタップ・フロートバルブの動作を確認。
2️⃣ 浴室(サーモスタット式シャワー水栓)では、カラン・シャワーからのポタ漏れがないかを確認。
3️⃣ 屋外では、給湯器や外水栓柱の接続部の滲みを点検。
いずれも異常は見られず、配管の漏水が疑われる状況と判断しました。
🟩 調査方法の流れ
1️⃣ 音聴調査(一次確認)
宅内外の露出配管に音聴棒を当て、漏水音を確認。
しかし、音が伝わらず明確な手がかりが得られませんでした。
⬇
2️⃣ トレーサーガス調査(範囲の絞り込み)
給水管にトレーサーガスを注入し、路面上の反応を測定。
厚いコンクリートの影響でガス反応は弱く、特定に至らず。
⬇
3️⃣ ハイブリッド手法(トレーサーガス+路面音聴調査)
ガス圧を上げて再注入し、路面音聴器で漏れ出すガス音を検音。
コンクリート下の一点で明確なガス音を確認し、その直下を斫り掘削した結果、給水管エルボ継手の亀裂を特定しました。
🟩 修理内容
・破損したエルボ継手と周囲配管をHIVP管に交換。
・粘性土を川砂に置換して埋め戻し。
・コンクリート面を現状復旧。
・修理後、耐圧試験で漏水の完全解消を確認。
・通水試験およびメーター動作を再確認し、水圧・流量ともに正常値へ復旧しました。
🟩 調査の結果と考察
今回の漏水は、経年劣化による継手亀裂が原因でした。
コンクリート下かつ粘性土のため、地表にも水が出ず、音も出ない典型的な“無音漏水”でした。
調査は難航しましたが、ハイブリッド手法により、音も反応もほとんど出ない環境で確実に特定に至った事例です。
🟩 地表に現れない漏水の理由
今回の現場のように、コンクリート路面と粘性土が重なる条件では、漏水しても地表に水が上がらず、外観から判断することができません。
・管の下部で漏れると、漏水水が地表に上がりにくい。
・粘性土は水を通さないため、水が地中で滞留する。
・コンクリート路面は水を閉じ込める構造となる。
こうした条件が重なり、音聴調査や目視確認のみでは判断できない現場でした。
🟩 総 評
本事例は、音や水の反応が出ない“無音漏水”をトレーサーガスで特定したケースです。
調査対象となったのは、千葉県成田市の戸建住宅で、「駐車場コンクリート下」「粘土質地盤」「築30年以上」という三重の条件が重なった、難易度の高い環境でした。
厚いコンクリートと保水性の高い地盤の影響で、音聴調査だけでは漏水音を捉えることができませんでしたが、トレーサーガス調査を併用することで、微量漏水の位置を的確に把握することができました。
破壊を最小限に抑えながら確実な特定に至ったことは、非破壊調査の有効性を示す良い実例となりました。難航したものの、最終的には2箇所の漏水を特定・修理し、水圧の安定と水道メーターの異常回転も完全に解消しています。
なお、修理箇所周辺の経年管についても今後の劣化進行が予想されるため、定期的な圧力確認や水道メーター点検をおすすめします。
🟩 さいごに
今回の事例は、地盤条件や構造の制約が重なり、音や水の反応が出にくい典型的な“無音漏水”でした。
コンクリート駐車場下や粘性土など、一般的な調査では判断が難しい環境でも、当社では音聴調査とトレーサーガス調査を組み合わせたハイブリッド手法で、掘削範囲を最小限に抑えながら確実な特定を行っています。
成田市をはじめ、印旛地域(佐倉市・富里市・八街市・印西市・四街道市など)や千葉市・茨城県南部でも、同様の条件下での漏水調査・修理に対応しています。
「水道料金が急に上がった」「駐車場下が乾いたままなのにメーターが回っている」など、心当たりがある場合は、お早めにご相談ください。
当社では、見えない漏水の確実な特定と、再発を防ぐ修理対応を大切にしています。
🟪 ご案内
漏水は、地表に症状が現れなくても進行していることがあります。
酒々井町を中心に、印旛地域(佐倉市・成田市・富里市・八街市・四街道市・印西市・栄町)や千葉市若葉区・芝山町・山武市など、千葉県全域で調査・修理を承っています。
※今回の現場は、トレーサーガスと音聴調査を併用し、確実な特定・修理を行いました。
🟪 写真掲載について
本記事は、お客様のプライバシー保護および現場特定の防止を目的として、施工中・修理後の写真を一部または非掲載としています。
掲載している場合は、周囲が特定できない範囲に限定しています。
周囲の建物や車両、門扉などから住所や個人が特定されるおそれがある場合は、写真を公開せず、文章による説明のみを掲載しています。
工事写真は未掲載です
お客様のプライバシー保護のため、現場写真の掲載は控えています。
内容はすべて現地での実際の調査・修理記録に基づいています。
-
竣工日
2025年10月
-
場所
千葉県成田市
-
施工内容
① 漏水調査工 ②漏水修理工 ③現状復旧工(コンクリート打設)
-
構造
木造2階建て住宅
-
完工時築年数
30年
お客様の声
今回の現場では、コンクリート駐車場の下で起きた“音のしない漏水”という非常に難しい状況でしたが、トレーサーガスと音聴調査を併用することで、原因箇所を正確に特定し修理を行いました。
お客様からは、次のようなお声をいただいております。
「どこを見ても濡れておらず、まさか駐車場の下で漏れているとは思いませんでした。
他の業者には“コンクリート下は無理”と言われていたので、見つけてもらえて本当に助かりました。
丁寧な説明で、工事後も安心して使えています。」
コンクリートや粘性土が重なる現場では、漏水音も反応も出にくく、判断が難しいことがあります。
当社では、非破壊で行うトレーサーガス調査と音聴調査を組み合わせることで、こうした“地表に現れない漏水”にも対応しています。

