非破壊で特定・修理した微量漏水事例|千葉県東金市
-トイレ止水不良も同時に解消し、水道料金の抑制と再発防止を実現-
第4回|酒々井町 ➤ 第5回|東金市 ➤ 第6回|成田市
🔶 要点
- 敷地が広く、掘削による全面調査は非現実的
- 初動調査では配管経路や露出設備から漏水音・水跡なし
- 良質土の埋設部で水を吸い込み、漏水音も響かず
- トレーサーガス調査で短時間に漏水箇所を特定
- ロータンク式トイレ内部部品も同時に交換
- 埋設管と器具不良が重なった事例は全体の約3割
🔶 はじめに
千葉県東金市の戸建住宅(平屋)で、水道使用量が急増しているとの指摘を受け、設計事務所を通じて漏水調査のご依頼をいただきました。
敷地が広く、全面的な掘削による調査は現実的ではない状況でした。そのため、非破壊で精度の高い方法を用いて漏水箇所を特定する必要がありました。初動調査では配管経路や屋外設備を確認しましたが、地面に濡れた箇所やぬかるみ、漏水音は一切確認できませんでした。
このような条件下で、トレーサーガス調査を用いて短時間で漏水箇所を特定し、同時にロータンク式トイレの止水不良も解消しました。
🔶 目次
- 第1章|依頼の経緯と現場状況
- 第2章|初動調査の内容と課題
- 第3章|トレーサーガス調査での特定手順
- 第4章|漏水箇所と修理内容
- 第5章|放置した場合のリスクとコスト
- 第6章|再発防止を考慮した施工設計
- 第7章|調査から得られた教訓と再発防止のポイント
- 第8章|総まとめ|漏水調査の重要性と早期対応のすすめ
🟩 第1章|依頼の経緯と現場状況
🟦 1.1 依頼背景
千葉県東金市の戸建住宅(平屋)では、設計事務所を通じて漏水調査の依頼が入りました。
住宅の敷地が広く、庭先から建物裏手まで配管が埋設されているため、掘削による全面調査は現実的ではありません。
依頼の主な目的は、敷地全体の漏水を非破壊で精度高く特定することでした。
🟦 1.2 水道使用量の異常
依頼時、水道検針員から「前月比で使用量が大幅に増加している」と報告がありました。
家庭内の水の出方や使用頻度には変化がなく、家族の日常利用では増加理由が説明できません。
この増加は施主様にとって水道料金の急増という不安材料となり、早期に漏水箇所を特定する必要がありました。
🟦 1.3 敷地と建物の特徴
敷地の広さと建物構造により、初動調査は目視と音聴を中心に実施されました。
配管経路が長く、露出配管も限られていたため、従来の方法では音や水跡が地表に現れにくい条件でした。
敷地条件のポイントは次の通りです。
- 埋設配管は良質土に埋設され、水を吸収しやすい
- 土質は柔らかく、地表への音伝達が弱い
- 配管は住宅裏手まで長く、目視だけでは確認できない
🟦 1.4 初動調査の実施内容
🔷 屋内設備の確認
屋内では水回り設備を順に確認しました。
主な対象は以下です。
- トイレ(ロータンク内部含む)
- 洗面台水栓
- 浴室水栓・シャワー水栓
- 台所水栓
- 洗濯機用水栓
🔷 結果
- 音聴棒を用いて漏水音を確認した結果、ロータンク式トイレ内部の止水不良が1箇所見つかりました。
- しかし、配管全体からの漏水音は確認できず、屋内設備だけでは水道使用量の増加を説明できませんでした。
🔷 屋外設備の確認
屋外では露出配管や設備を調査しました。
確認箇所は以下の通りです。
- 給湯器本体と給湯器に接続された給水・給湯管
- 外水栓柱
- 露出している配管・バルブ類
🔷 結果
- 路面音聴器を使用しましたが、敷地の広さや土質の影響で音は伝わらず、異常反応は得られませんでした。
- 埋設管の周囲は良質土で柔らかく、水を吸収しやすいため、漏水が地表に現れず、音も響かない条件でした。
🟦 1.5 初動調査での課題
初動調査から明確になった課題は次の通りです。
- 敷地が広く、漏水音が伝わりにくい
- 埋設管の土質により水跡や音が地表に現れない
- 屋内設備の止水不良が部分的にあるが、敷地全体の水量増加を説明できない
🔷 結果
このため、従来の音聴や目視だけでは漏水箇所の特定は困難であることが判明しました。
🟦 1.6 調査の意義
初動調査の意義は、見えない漏水の存在と従来手法の限界を把握することです。
読者には次の点を理解していただくことが重要です:
- 音がしない・水跡がない漏水は、通常の確認手法だけでは発見困難
- 埋設管の土質や敷地条件が漏水音や目視での発見を妨げる
- 初動調査は本調査を効率的に行うための基礎情報として不可欠
🟩 第2章|初動調査の内容と課題
🟦 2.1 初動調査の目的
初動調査の目的は、敷地内で発生している可能性のある漏水範囲を把握し、本調査に向けた手掛かりを得ることです。
敷地が広く配管経路が複雑であるため、まずは非破壊で確認可能な方法を中心に実施しました。
この調査で得られた情報は、トレーサーガス調査を効率的に進めるための重要な基礎データとなります。
🟦 2.2 屋内調査の手順と結果
屋内では、水回り設備を順に確認し、漏水の兆候を探しました。
🔷 確認した設備
- トイレ(ロータンク内部も含む)
- 洗面台水栓
- 浴室水栓・シャワー水栓
- 台所水栓
- 洗濯機用水栓
🔷 結果
各水栓やトイレの動作確認後、音聴棒を使用して配管やバルブ部の漏水音を確認しました。
結果、ロータンク式トイレ内部の止水不良が1箇所確認されました。しかし、配管全体からの漏水音は検出されず、屋内設備だけでは水道使用量の増加を説明できませんでした。
🟦 2.3 屋外調査の手順と結果
屋外では、露出配管や設備の音聴を中心に調査しました。
🔷 確認した設備
- 給湯器本体と給湯器に接続された給水・給湯管
- 外水栓柱
- 露出配管およびバルブ類
🔷 結果
地中配管の音を路面音聴器で確認しましたが、敷地が広く、土質が柔らかい良質土であるため、音はほとんど伝わりませんでした。
結果として、屋外設備からも漏水音は検出できず、目視で濡れやぬかるみも確認できませんでした。
🟦 2.4 初動調査の課題
初動調査の結果から、現場の課題は明確になりました:
- 敷地が広く、漏水音が地表まで届きにくい
- 埋設管の周囲は良質土で、水を吸収しやすく、音も響かない
- 屋内設備の止水不良が一部存在するが、敷地全体の水道使用量増加を説明できない
🔷 結果
これらの条件により、従来の音聴・目視だけでは漏水箇所の特定は困難であることが確認されました。
🟦 2.5 初動調査の意義
初動調査の意義は、漏水の存在を確認し、本調査の方向性を定めることです。
この段階で得られた情報は、以下の理由で重要です:
- 見えない漏水の存在を把握する
- 従来手法の限界を明確化する
- トレーサーガス調査の対象範囲や優先箇所を特定する
👉 補 足
また、初動調査で確認されたロータンク式トイレの止水不良は、後日の修理で水道料金の増加を抑制するポイントとなります。
統計的にも、埋設管の漏水と器具不良が重なるケースは全体の約3割を占めるため、この初動調査の結果は、本調査に向けた重要な判断材料となります。
🟦 2.6 読者へのポイント
読者には、次の点を理解していただくことが重要です:
- 音がしない・水跡がない漏水は、通常の確認手法だけでは発見が難しい
- 土質や埋設管の深さ、敷地条件により、音聴器や目視での検出が制限される
- 初動調査は、本調査の精度を高めるための基礎情報として不可欠
👉 初動調査で得られた情報をもとに、次の**第3章「トレーサーガス調査での特定手順」」**で、漏水箇所を精度高く特定する流れに進みます。
🟩 第3章|トレーサーガス調査での特定手順
🟦 3.1 トレーサーガス調査の目的
初動調査で屋内外の音聴・目視では漏水箇所の特定が困難であることが判明したため、非破壊かつ精度の高い調査としてトレーサーガス調査を導入しました。
目的は、敷地内の埋設管からの微量漏水を短時間で正確に特定することです。
この方法では、音や水跡が現れにくい条件下でも、ガスの拡散反応を利用して漏水箇所を検出できます。
🟦 3.2 トレーサーガス調査の仕組み
トレーサーガス調査は、水道管内に安全なガスを注入し、地表面や配管周囲で専用検知器を用いて漏気を確認する方法です。
🔷 仕組みのポイント
- ガス分子は水よりも小さく、微細な亀裂から漏出可能
- 漏出したガスは地表や配管周囲に拡散
- 専用検知器で濃度分布を測定し、漏水箇所を推定
- 音が出ない微量漏水でも非破壊で特定可能
👉 この方法により、従来の音聴調査では反応が得られなかった微細漏水も、短時間で精度高く位置を特定できます。
🟦 3.3 調査前の準備
調査前には、以下の作業を行い、正確な漏水特定を支援します。
🔷 準備作業
- 給水管・給湯管を閉止して配管を安定化
- 配管経路図と現地状況を確認
- トレーサーガス発生装置・検知器の準備と校正
- 屋外調査区域の安全確保と立ち入り制限
👉 これにより、漏水箇所の特定精度を高め、調査中の安全も確保します。
🟦 3.4 調査手順
実際の現場で行った調査手順は以下の通りです。
1️⃣ ガス注入
- 給水管・給湯管にトレーサーガスを注入
- 圧力を調整し、管内全域に均一に拡散させる
⬇
2️⃣ 漏気検知
- 専用検知器を用いて地表や配管周囲のガス濃度を測定
- 複数地点で反応を確認し、漏水の可能性を評価
⬇
3️⃣ 反応確認
- ガス濃度が高い地点を特定
- 路面音聴器で微小な「ガス音」を聴取し、反応を突き合わせる
⬇
4️⃣ 位置の確定
- 反応が一致した地点を重点的に測定
- 掘削範囲を最小限に抑えて、漏水箇所を特定
⬇
5️⃣ 修 理
- 修理に必要な範囲を人力掘削する。
- 今後の漏水を考慮して、漏水箇所および周辺配管を交換する
🟦 3.5 現場での判断ポイント
現場では、次のポイントに注意しながら調査を進めました。
- 埋設深度や配管経路によるガス拡散の違い
- 良質土や柔らかい土質で音が伝わりにくい条件
- ガス濃度と音聴反応の一致箇所を優先して掘削
👉 まとめ
これにより、広い敷地でも最小限の掘削で漏水箇所を正確に特定できました。
🟦 3.6 調査結果
トレーサーガス注入後、約30分で以下の漏水箇所を特定しました。
- 埋設給水管(VP管)の継手部で微細な亀裂
- 漏水量は毎分200ml未満で、音や水跡は全く確認できない状態
👉 結 果
- 良質土の影響で水が地表に現れず、柔らかい土質のため音も響きませんでした。
- この条件下でも、トレーサーガス調査により非破壊で短時間に漏水箇所を確定できました。
🟦 3.7 調査の意義
今回のトレーサーガス調査により、次の点が明確になりました。
- 音が出ない、地表に水が現れない条件下でも漏水特定が可能
- 敷地が広く、掘削調査が困難な現場でも最小限の作業で済む
- 初動調査で得られた情報を基に効率的に調査を進められる
👉 まとめ
読者には、目に見えない微量漏水でも非破壊で確実に特定できる方法があることを理解していただく章です。
🟧 関連解説
調査で使用する音聴機器やトレーサーガス検知器の特徴、そして両者を組み合わせた漏水調査の流れを紹介しています。
・音聴機器の仕組みと使い方
・トレーサーガス機器の仕組みと使い方
・漏水調査(ガス+音聴併用)の実施例
🟩 第4章|漏水箇所と修理内容
🟦 4.1 漏水箇所の特定
トレーサーガス調査の結果、以下の漏水箇所が特定されました。
- 埋設給水管(VP管)の継手部
- 微細な亀裂破損
- 漏水量は毎分200ml未満で、音や水跡は確認できない状態
🔷 結 果
- 良質土で水が地表に現れず、柔らかい土質のため漏水音も響かない条件でした。
- この条件下でもトレーサーガス調査により、短時間で漏水箇所を非破壊で特定できました。
🟦 4.2 修理の方針
漏水箇所の修理方針は、再発防止と水道料金の抑制を重視しました。
埋設管の破損部分を交換すると同時に、初動調査で止水不良が確認されたロータンク式トイレの部品も修理することで、漏水全体の原因を包括的に解消します。
🟦 4.3 埋設配管の修理
埋設給水管の修理内容は以下です。
🔷 VP管の撤去と更新
- 耐衝撃性の高いHIVP管に交換
- 配管経路を整理し、圧力損失を最小化
🔷 継手材の再接続
- 破損したバルブソケットは金属製に交換
- 接着部を再構成し、気密性・耐圧性を確保
🔷 まとめ
この施工により、埋設配管全体の耐久性と信頼性が向上し、将来的な微細漏水の発生リスクを低減しました。
🟦 4.4 屋内設備の修理
初動調査で確認されたロータンク式トイレの止水不良についても修理を行いました。
🔷 修理内容
- ボールタップ・フロートバルブ・スピンドルセット・水栓コマを交換
- 手洗い水栓のハンドル・三角パッキンなど上部部材も交換
🔷 まとめ
- この修理により、トイレからのポタ漏れや止水不良による水道料金増加のリスクを解消しました。
- 統計的にも、漏水依頼全体の約3割は、埋設管と器具不良の組み合わせによるものです。
- 今回のように両方が重なるケースでは、両方を同時に修理することが重要です。
🟦 4.5 修理後の確認
修理完了後、以下の確認作業を実施しました。
- 配管と継手の耐圧試験
- ロータンク式トイレの止水状態確認
- 給水・給湯系統全体の通水確認
🔷 結 果
これにより、漏水が完全に止まっていることを確認し、施工範囲を必要最小限に抑えつつ、確実な止水性能を確保しました。
🟦 4.6 修理の意義
今回の修理は単なる漏水補修ではなく、将来的な再発リスクを最小限に抑える構造改善を含むものです。
- 埋設管の耐衝撃性向上により、地盤変動や配管振動による破損リスクを軽減
- 継手材やバルブソケットの交換で、微細亀裂発生の可能性を低減
- 屋内設備の同時修理で、部分的な器具不良が全体の水道使用量増加に影響することを防止
👉 この結果、住宅全体の水道系統が安定し、漏水再発の可能性を大幅に低減しました。
🟦 4.7 読者へのポイント
読者には、以下の点を理解していただきたいです。
- 微量漏水でも、埋設管と器具不良が重なると水道料金増加に直結
- トレーサーガスで漏水箇所を正確に特定した後、再発防止策を含めた修理が重要
- 屋内設備の止水不良も漏水の一因となるため、併せて修理することが効果的
🟩 第5章|放置した場合のリスクとコスト
🟦 5.1 放置が招く影響の概要
微量漏水は、「少量だから大丈夫」と考えられがちですが、時間が経過すると水道料金や光熱費、建物・地盤への長期的影響、さらに修繕費の増大という複合的な損失を招きます。
今回の事例でも、漏水量は毎分200ml未満と非常に微量でしたが、放置すれば年間5〜8万円相当の水道料金増加が見込まれます。
🟦 5.2 水道料金の増加
家庭用上水・下水の合算単価を1m³あたり500〜800円とした場合、漏水量ごとの月間および年間の概算は以下です。
- 100ml/分 → 約4.32m³/月 → 約2,160〜3,456円/月(年間 約25,920〜41,472円)
- 200ml/分 → 約8.64m³/月 → 約4,320〜6,912円/月(年間 約51,840〜82,944円)
- 500ml/分 → 約21.6m³/月 → 約10,800〜17,280円/月(年間 約129,600〜207,360円)
👉 まとめ
- 漏水が毎日連続すると、少量でも年間の損失が数万円単位で積み重なることが分かります。
- さらに、給湯や温水器を使用している場合は、燃料や電気代の増加も加算されます。
🟦 5.3 光熱費・電気代への影響
漏水による温水の流出や井戸ポンプの常時稼働は、光熱費・電気代を押し上げます。
🔷 温水漏水
- 給湯器や電気温水器が常に作動し、月3,000〜1万円前後の燃料・電気代増加
🔷 井戸ポンプの常時稼働
- 電気代増加(月数千円〜1万円)、スイッチやモーターの摩耗加速、寿命短縮(修理費数万〜十数万円のリスク)
👉 こうした影響は、音も水跡もない微量漏水でも無視できません。
🟦 5.4 建物・地盤への影響
漏水が地中で継続すると、建物や地盤にも影響が及びます。
- 土壌の軟化による基礎下空洞化や沈下
- 床下の湿気やカビ、木材の腐朽
- コンクリート構造物や舗装面の劣化
👉 外観からは分かりにくい「静かな劣化」が進行する点が、微量漏水の恐ろしい特徴です。
🟦 5.5 修繕費の増大
早期発見なら数万円で済む修理も、放置すると状況が悪化します。
- 漏水が進行すると、配管再構築やコンクリート解体が必要になり、10万〜20万円以上の修繕費に膨らむ場合があります。
- 特に屋内設備や埋設管が複合的に損傷している場合、修理範囲が拡大し費用が増加します。
🟦 5.6 実際のリスク感覚
今回の現場の漏水量(毎分200ml未満)でも、年間で約5〜8万円の損失が発生します。
もし2年間放置すれば、15万円超の水道料金増加+修繕費増大+光熱費・機器劣化という複合損失が現実に起こりえます。
数字上は小さく見えても、日常的な固定費として積み重なるため、無視できません。
🟦 5.7 調査と早期対応の意義
微量漏水は放置すると大きな損失につながるため、次の対応が重要です。
- 兆候に気づいた時点で専門調査を依頼
- 音や水跡がなくても、メーターの微細な動きや検針データを確認
- 発見後は、埋設管と屋内設備の両方を含めた修理を行う
👉 早期に対応すれば、最小コストで確実に漏水を止めることが可能です。
🟦 5.8 読者へのポイント
読者には、次の点を理解していただきたいです。
- 微量漏水でも放置すれば、水道料金・光熱費・建物への影響が拡大
- 埋設管と器具不良の組み合わせは、長期的に大きな損失につながる
👉 兆候を見逃さず早期に専門調査を行うことが、最も効率的なコスト抑制策
🟩 第6章|再発防止を考慮した施工設計
🟦 6.1 施工設計の目的
漏水箇所の修理後、再発を防ぐためには単なる補修で終わらせるのではなく、配管全体の構造・材料・経路を見直すことが重要です。
今回の事例では、埋設管の耐久性向上と、屋内設備の安定稼働を両立させることを目的として施工設計を行いました。
🟦 6.2 埋設管の更新と配管経路の最適化
埋設給水管(VP管)の破損箇所は耐衝撃性の高いHIVP管に更新しました。
更新時には以下の点に配慮しています。
- 配管経路を整理し、不要な曲がりや分岐を最小化
- 圧力損失を抑え、水流の安定性を確保
- 継手材とバルブソケットは耐久性の高い金属製に交換
- 接着部を再構成し、気密性・耐圧性を向上
👉 これにより、地盤変動や配管振動による破損リスクを軽減し、長期的な安定供給を実現しました。
🟦 6.3 屋内設備の補強と部品交換
ロータンク式トイレの止水不良部品や手洗い水栓も同時に交換しました。
施工のポイントは以下です。
- ボールタップ、フロートバルブ、スピンドルセット、コマを交換
- ハンドルや三角パッキンなどの上部部材も更新
- 将来的なポタ漏れや止水不良を防止するため、内部構造を整備
👉 これにより、屋内設備による漏水リスクを排除するとともに、水道料金増加の要因を根本的に解消しました。
🟦 6.4 支持部や経路の補強
再発防止には、配管支持部や経路の安定も重要です。
施工では次の点を実施しました。
- 配管支持部を補強し、経年変化による揺れやたわみを抑制
- 不要な分岐バルブや滞留部を撤去し、圧力損失を最小化
- 配管の接合部や継手を再構成し、気密性と耐久性を向上
👉 これにより、将来的な微細亀裂の発生や再漏水を未然に防ぐ構造となります。
🟦 6.5 施工後の確認と耐久性評価
施工後には、再発防止策が適切に機能しているかを確認しました。
- 埋設管および継手の耐圧試験を実施
- 屋内水栓・ロータンク式トイレの止水確認
- 配管経路全体の通水確認と圧力安定性の確認
👉 これにより、施工後すぐだけでなく、長期的に安定した水供給が可能であることを確認しました。
🟦 6.6 調査結果と施工設計の意義
今回の施工設計により、以下の効果が得られました。
- 埋設管と継手の耐久性向上で、地盤変動や微細振動による再漏水を防止
- 屋内設備の部品交換で止水不良を解消
- 配管経路と支持部の改善により、圧力損失や滞留部を最小化
- 将来的な保守性とメンテナンスのしやすさを確保
👉 これにより、単なる補修ではなく、次の十年間を見据えた長期的な再発防止策としての施工設計となりました。
🟦 6.7 読者へのポイント
読者には、以下の点を理解していただくことが重要です。
- 微量漏水でも、再発防止策を含めた施工設計が必要
- 埋設管・継手・屋内設備を包括的に見直すことで再漏水リスクを低減
- 配管経路や支持部の補強は、長期的な水供給の安定とメンテナンス性向上につながる
- 専門調査に基づいた施工設計が、最小限の掘削と確実な止水を両立させる
🟩 第7章|調査から得られた教訓と再発防止のポイント
漏水調査の現場では、単に水漏れを見つけて修理するだけではなく、「なぜその箇所で発生したのか」「再発を防ぐにはどうすればよいか」を検証することが重要です。
本章では、今回の事例を通じて得られた実践的な教訓と、将来的な再発を防ぐための具体的なポイントを整理します。
🟦 7.1 本事例の総括
今回の千葉県東金市の戸建住宅では、敷地内で音も水跡もほとんど確認できない微量漏水が発生していました。
初動調査では、屋内外の音聴や目視で明確な異常は確認できず、ロータンク式トイレの止水不良が一部見つかった程度でした。
しかし、トレーサーガス調査により、埋設給水管の継手部の亀裂を短時間で特定することができました。
🟦 7.2 調査手法の意義
- 音や水跡が出にくい条件下でも、非破壊で正確に漏水箇所を特定できる
- 初動調査で得られた情報をもとに、効率的に本調査を進められる
- 調査と修理をセットで実施することで、水道料金の増加や設備への影響を最小化
👉 この事例は、広い敷地や良質土に埋設された配管など、通常の音聴調査では発見が難しい条件下でも、確実に漏水を止めることが可能であることを示しています。
🟦 7.3 修理と再発防止の意義
修理作業では、以下の取り組みを行いました。
- 埋設管の耐衝撃性HIVP管への更新
- 継手材やバルブソケットの耐久性向上
- 配管経路や支持部の補強
- 屋内設備(ロータンク式トイレ・手洗い水栓)の止水部品交換
👉 これにより、漏水の再発リスクを最小限に抑えつつ、配管系統全体の信頼性と長期的な安定稼働を確保しました。
🟦 7.4 放置した場合のリスク
微量漏水でも、放置すると以下の影響が発生します。
- 水道料金や光熱費の増加
- 地盤の軟化や床下湿気、木材の腐朽
- コンクリートや舗装面の劣化
- 修繕費の大幅増加
👉 初期の兆候を見逃さず、早期に専門調査を行うことが、最小コストで確実に漏水を止める方法です。
🟦 7.5 読者へのポイント
読者には、以下の点を理解していただくことが重要です。
- 微量漏水でも、兆候を見逃さず早期対応することが重要
- 埋設管と屋内設備の両方を確認することで、漏水原因を包括的に解消できる
- 非破壊調査を活用することで、敷地全体を最小限の掘削で精度高く特定可能
- 修理後は、配管や設備の再発防止策を含めた施工設計が重要
🟦 7.6 今後の対応のすすめ
今回の事例のように、目に見えない微量漏水でも、早期発見と計画的な施工により、将来的な損失を抑えることが可能です。
読者には、次の点を意識していただくことをおすすめします。
- 水道使用量の変化や検針指摘を無視しない
- 屋内設備の止水状態や微量漏水の兆候を確認する
- 必要に応じて専門調査を依頼し、非破壊で精度高く漏水箇所を特定する
👉 これにより、家計への負担と建物・設備への影響を最小化し、長期的な安定運用を維持できます。
🟦 まとめ
漏水調査は、原因を突き止めることがゴールではありません。再発を防ぐための構造理解と、点検しやすい設備づくりこそが次に生きる知見です。調査ごとに得られた経験を次の現場へ還元することで、より確実で持続的な対策が実現します。
🟩 第8章|総まとめ|漏水調査の重要性と早期対応のすすめ
漏水は、発見が遅れるほど費用と被害が大きくなります。今回のように音や水跡が出ない“静かな漏水”であっても、放置すれば水道料金や電気代の増加、地盤沈下や建物劣化など、生活基盤への影響は少なくありません。漏水調査の目的は、単なる修理ではなく「損失を止め、将来の負担を減らすこと」です。早期に調査を行うことで、修繕費を最小限に抑え、建物の寿命を延ばすことができます。
今回の千葉県東金市の戸建住宅では、目に見えない微量漏水を初動調査とトレーサーガス調査により特定し、埋設管の亀裂やロータンク式トイレの止水不良を修理しました。広い敷地や良質土で覆われた配管でも、非破壊調査と計画的な施工設計によって短時間で漏水箇所を確定し、再発防止策まで実施できることが確認されました。微量漏水は、外観や音では確認できないため放置されがちですが、時間が経過すると水道料金や光熱費の増加、建物や地盤への影響、さらには修繕費の増大といった複合的な損失につながります。
今回の事例から得られるポイントは次の通りです。
- 微量漏水でも早期発見が重要である
- 埋設管と屋内設備の両方を確認することで漏水原因を包括的に解消できる
- 非破壊調査を活用することで、敷地全体を最小限の掘削で精度高く特定できる
- 修理後は、配管や設備の再発防止策を含めた施工設計が重要である
漏水を早期に特定し、必要な修理と予防措置を行うことが、長期的な安定運用とコスト抑制につながることが、この事例から理解できます。
⬛ 次の記事【準備中】
◾ 第6回|千葉県成田市|井戸ポンプ故障の原因が漏水だった事例
音がしない・見えない微量漏水4箇所をトレーサーガスで特定し、修理まで実施した漏水調査の事例を解説します。
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漏水の原因の見極め方から、自分で行えるチェック手順までを整理。調査前に知っておきたい基礎知識と、判断の考え方をまとめています。
◼️ 実務解説記事
実際の施工事例をもとに、“音も水跡も出ない漏水”の見つけ方を解説しています。
現場での判断や機器の使い分けなど、実践的な視点で理解できます。
◾ 第1回|千葉県八千代市|漏水音がしない微量漏水を特定するトレーサーガス調査で特定&修理した事例
◾ 第2回|千葉市若葉区|他社で断られた井戸水漏水|音無し微細漏水5箇所をトレーサーガス調査で特定&修理した事例(築50年以上)
◾ 実務解説記事の一覧
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水道代が急に高くなった、ポンプが頻繁に動く――。
そんなとき、自宅でできる簡易チェックや応急対応の方法をまとめています。
専門調査の前に「どこに異常があるのか」を自分で確かめたい方におすすめの内容です。
◾ 戸建て住宅版|自分でできる漏水調査と対策ガイド
◾ 簡易判定版 ①|水道料金が急増?「使い過ぎ」か「漏水」かを自分で見極める方法
◾ 簡易判定版 ②|自分でできる漏水チェック方法10選
◾ 自己診断マニュアル ①|水道料金が急増なら必見!自分でできる漏水自己診断マニュアル
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音が出ない漏水や深埋設のケースなど、実例を通して調査から修理までの流れを紹介しています。現場ごとの条件や地盤の違いに応じた調査手法の使い分け、修理までの判断ポイントを具体的に解説しています。
◾ 千葉県成田市|コンクリート駐車場下の微細漏水をハイブリッド調査で特定&修理した事例(築30以上・戸建て)
◾ 千葉県市川市|厚コンクリート下の音無し漏水をトレーサーガスで特定&修理した事例(戸建て)
◾ 千葉県印旛郡酒々井町|音無し地中微細漏水をトレーサーガス+路面音聴で特定&修理した事例
🔷 漏水調査施工事例の一覧
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