⬛ 本記事は「注意報シリーズ」第1回です。(凍結シリーズ/冬季特別編)
冬の朝、「蛇口をひねっても水が出ない」というご相談が多くなります。一時的な凍結なら自然に解けますが、問題は“凍ったまま”や“解けたあと”に起こる破損と漏水です。
屋外水栓や水栓柱の内部では、見えない部分で氷が膨張し、金属部や樹脂管を圧迫しています。わずかな亀裂が生じると、解凍後に水が流れ出し、気づかないまま漏水状態になることがあります。
本記事では、屋外水栓の凍結防止方法と、凍結が破損・漏水につながる仕組みを解説します。
🟩 凍結が起きる仕組み
気温が0℃を下回ると、露出した配管や蛇口内の水が凍結し、体積が膨張します。氷の膨張率は約9%。逃げ場のない密閉空間では、内部圧力が金属や樹脂を押し広げ、ひび割れを生じます。
この状態では外から異常が見えず、翌朝、気温が上がって氷が溶けるとひびから一気に水が漏れ出します。そのため「朝は出なかったのに、昼から地面が濡れている」というケースが多く見られます。
また、凍結破損が地中や水栓柱の内部で起きると外部から確認できず、検針時の使用量増加でようやく気づくこともあります。
🟦 軽度の凍結時の応急対応
凍結しても焦らず、まずは安全を最優先に対応することが大切です。誤った解凍方法は、破損や漏水の原因になります。
1️⃣ 熱湯は絶対にかけない
急激な温度差により、金属や樹脂が膨張・収縮して破損を引き起こすおそれがあります。
2️⃣ ぬるま湯・ドライヤーも注意が必要
温度変化が急すぎる場合、縮こまった部材が一気に伸びてひび割れることがあります。
特に樹脂管や接合部は変形しやすく、再利用できなくなる場合もあります。
3️⃣ 安全な解凍方法
- 自然解凍を基本とし、外気温の上昇を待つ
- 常温水を少量ずつかける
- 室内の暖気を外へ通すなど、ゆるやかに温度を戻す
4️⃣ 再発防止策
凍結が頻発する場合は、夜のうちに水を細く流しておく・保温材で覆うなど、あらかじめ凍結を防ぐ対策を取りましょう。
🟦 凍結を防ぐための事前対策
凍結は「起きてから解かす」よりも、「起こさないように備える」ことが最も確実です。
特に夜間から明け方にかけては、外気温の低下によって配管や蛇口の内部が急速に冷え込み、残った水が凍結することがあります。
こうした凍結は、ほんの少しの保温対策で防げる場合が多く、翌朝の破損や漏水トラブルを未然に防ぐことができます。
次のような対策を行っておくと効果的です。
1️⃣ 夜間の冷え込みに備える
- タオルや布を巻き、その上からビニール袋をかぶせる(簡易保温)
- スポンジ保温材や発泡スリーブを配管や水栓柱に装着する
2️⃣ 凍結しやすい場所を重点的に保護
- 北向きや日陰の水栓は特に冷え込みが早い
- 外壁付近や風の通り道の蛇口も凍結しやすい
3️⃣ 長期不在時の対策
- 旅行や出張などで数日家を空ける場合は止水栓を閉める
- 内部に水を残さず、凍結膨張を防ぐ
まとめ
こうした保温対策は手軽にできるうえ、凍結トラブルの大半を防げます。特に冷え込みが強い地域では、「前夜対策」が最も効果的です。
🟦 凍結破損が漏水に発展するケース
凍結の影響で、次のような部位が損傷することがあります。
- 蛇口内部のスピンドル軸やパッキンの破裂
- 水栓柱内部の樹脂管・銅管の膨張亀裂
- 地中配管のジョイント部のひび割れ
凍結中は水が出ないため異常に気づかず、解凍後に「地面が濡れている」「ポンプが止まらない」「水道代が増えた」といった形で発覚します。また、凍結が繰り返されることで金属疲労や樹脂の劣化が進み、管や水栓本体が弱っていきます。これまで問題がなかった箇所でも、年を重ねるごとに破損や漏水へ進行するリスクが高まります。
「去年は大丈夫だったから今年も大丈夫」と油断してしまうことが、実際の破損トラブルのきっかけになるケースも多く見られます。なお、こうした凍結破損による漏水は、火災保険の補償対象となる場合があります。詳細はご加入の保険内容をご確認ください。
🟩 まとめ
屋外水栓の凍結は、朝の一時的なトラブルに見えて、実際には破損や漏水へつながるリスクを含んでいます。「凍らせないこと」が最も確実な対策です。
夜間の保温、少量通水、保温材の装着を行い、凍結が疑われたときは無理に解かさず、破損や水漏れの兆候がある場合は早めに専門業者へ相談してください。
🕓 更新日:2025年11月20日
※ 本記事は、戸建て住宅・屋外水栓柱・露出配管を対象としています。
※ 凍結破損による漏水は、状況により火災保険の対象となる場合があります。
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