🟩 井戸ポンプFAQシリーズ|リクエスト編
当記事は、修理で伺った際にいただいた質問にお答えするシリーズ企画の第1回目です。
このシリーズは、私たちが日々行っている井戸ポンプの修理・交換、漏水調査の現場で、お客様から実際にいただく質問を分かりやすくまとめた“現場型Q&A企画”です。
専門的になりすぎないよう配慮しながら、必要なポイントを押さえてお届けします。
‼️ 一般的な家庭用井戸ポンプの故障原因については「家庭用井戸ポンプFAQシリーズ」を参照してください(準備中)。本記事では、イワヤポンプ JPS-4051F の“現場で実際に寄せられた質問”に特化して解説します。
🟦 今回のご相談(修理で伺った際の質問)
千葉県八街市にて、深井戸用ジェットポンプ(イワヤ製 JPS-4051F)を使用歴15年でお使いのお客様から、「止まらない」「動きがおかしい」というご相談を受け、現場で点検・対応を行いました。
🔷 施主情報
- 千葉県八街市在住
- 戸建て住宅(2階建)
- 用途:生活用水
🔷 設備情報
- 種類:深井戸用ジェットポンプ
- 型式:イワヤポンプ JPS-4051F
- 使用年数:15年
- 電源:単相100V
- 出力:400W
◼️ 質問:最近ポンプが止まらなくて心配です。どこが壊れやすいんでしょうか?
◼️ 回答:故障の大半は、次の5つの部位から起こります。
JPS-4051Fで不具合が起きる原因は、まず主要となる3つの故障部位が中心です。
これら3部位のどれか1つでも不調が進むと、他の部位に負荷が波及して連鎖的に故障を引き起こし、修理費用が大きくなるおそれがあります。
そして、この3つの不調の影響を受けて、後から故障しやすくなる部位が2つあります。
また当機は、パワーリレーを使った制御構造を採用しており、この方式が“症状の出方”に独特の傾向を生みます。
👇 主要な3つの故障部位(故障の8割以上)
- 1️⃣ 圧力スイッチ(接点焼け・導通不良)
- 2️⃣ 圧力タンク(ゴム膜劣化・チャタリング)
- 3️⃣ パワーリレー(接点不良・動作不安定)
※この3部位の不調が進むと、次の2部位が“影響を受けて”故障しやすくなります。
👇 影響を受けた後に故障する2部位(故障の2割)
- 4️⃣ 制御基板(電気的負荷が集中して誤作動)
- 5️⃣ モーター部(長時間運転・過熱で焼損リスク)
🟦 各部位のポイント解説
1️⃣ 圧力スイッチ
最も壊れやすい部品で、使用年数が長くなると接点が焼け、起動しない・カチカチ音はするが動かない・動いたまま止まらないといった症状が出ます。止水不良や微漏水が重なると焦げ付きが進行し、導通が途切れて起動信号が送れなくなることがあります。JPS-4051F はバネの動きが渋くなりやすく、可動不良が起きる傾向があります。この“バネ可動部の弱り”はイワヤ製特有で、一般家庭用ポンプとは異なる症状を示すことがあります。
2️⃣ 圧力タンク
内部ゴム膜が弱ると水圧変動を吸収できず、頻繁に起動と停止を繰り返す“チャタリング”が起きます。水は普通に出るため気付かれにくく、見て見ぬふりをされがちですが、この状態が続くと圧力スイッチやパワーリレーの接点が黒く焼け、後から電装部が一気に壊れます。
3️⃣ パワーリレー
圧力スイッチと並ぶ故障部品で、接点焼けにより“止まらない方向”へ壊れることが多いです。起動と停止の切り替えが安定しなくなり、停止側の導通が途切れなくなると動いたまま止まりません。
4️⃣ 制御基板(影響部位)
3大部品が弱ると電気的負荷が集中し、誤作動や異常動作が起きやすくなります。部品代が高額なため、この段階で壊れると修理費は大きくなります。
5️⃣ モーター部(影響部位)
長時間運転が続くと過熱し焼損リスクが高まります。鉄分の多い井戸ではインペラが固着し、モーターの力では回らなくなることがあり、手動で回すことで復旧するケースもあります。
🟦 今回の現場対応(実際に行った作業)
今回のケースでは、次の2点が症状に直結していました。
- 圧力タンクの内部ゴム膜の劣化
- 圧力スイッチの接点焼け
このため、圧力スイッチと圧力タンクの交換を行いました。
🟦 今回見送った部品(パワーリレー)
パワーリレーは劣化の兆候がありましたが、
- 動作に支障がないこと
- 現時点で故障の可能性が高くないこと
- 次回点検のタイミングでも対応できること
これらの理由から、お客様と相談のうえ今回は見送りとしました。
🟩 まとめ
JPS-4051Fはパワーリレーを中心とした制御構造のため、一般的な家庭用ポンプとは症状の現れ方に特有の傾向があります。特に、圧力スイッチ・圧力タンク・パワーリレーの3点が主要な故障原因となりやすく、ここが弱ると制御基板やモーター部にも負荷が波及します。
使用歴10〜15年を超えると劣化が進みやすいため、普段と違う動作が見られた時点で点検することが、結果として修理費の抑制につながります。
🟩 最後にひと言
今回の現場では、劣化が進んでいた部品を交換し、動作が安定した状態に戻りました。井戸ポンプは使い続けながら劣化が進むため、いつもより音が大きい、止まり方が不自然、といった小さな違和感があれば早めにご相談いただくことをおすすめします。またいつでもお声掛けください。
⬛ 次の記事(準備中)
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