後半|実践編
最短で止める——住まいタイプ別チェック/症状別フロー/調査〜修理の段取り
前半では「漏水が自然に止まらない理由」と「60秒でできる一次判定」を押さえました。
後半は動くための実務編。住まいのタイプと症状に合わせて、どこを見る→どう見極める→次に何をするかを、そのまま現場で使える手順に落とし込みます。必要なのは懐中電灯とティッシュ、そして60秒の静かな時間だけです。
目 次:後半|実践編
- 7|住まいタイプ別チェック(分譲/非分譲/マンション/井戸ポンプ/リフォーム直後/凍結/長期不在)
- 8|調査から修理までの流れ(連絡→現地確認→調査→修理→検証→報告・アフター)
- 9|症状別ケーススタディ&最短の初動フロー(トイレ/屋外の濃いシミ/井戸ポンプ/給湯器/症状が曖昧なとき)
- 10|まとめと次のステップ(60秒の判定/症状別・優先チェック例/よくある質問)
- 11|まとめ
- 12|さいごに
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🟩 7|住まいタイプ別チェック
― はじめての人でも迷わない「説明 → 手順 → 判断」の順でまとめます ―
この章は、家のタイプや状況ごとにどこを見る/どう見極める/次に何をするかを一本の流れで示します。
必要なものは、懐中電灯・ティッシュ・時計(またはスマホの秒針)・コップ(トイレの色水テスト用)。専門道具は不要です。
⬛ 戸建て(分譲地:配管経路が比較的シンプル)
◾ 結論(最初にやること)
- 家中の蛇口を閉めてメーターのパイロットが微回転するかを確認し、同じタイミングで外構の“濃いシミ・乾きムラ・局所的な湿り”を点検します。
- 両方に異常が出たら屋外配管寄り、メーターのみ異常なら屋内の止水不良寄りと判断し、次の手順に進みます。
◾ 理由(なぜその順番か)
- 分譲地の多くは配管が直線的で、屋外・屋内の切り分けが早いほど調査費用や手戻りを抑えられるからです。
◾ 手順
- すべての蛇口・給湯器・洗濯機を止める。
- 水道メーターの銀の羽根(パイロット:微流を検知する銀色の小羽根)を60秒観察。少しでも回ればどこかで通水中。
- そのままの状態で、駐車場・アプローチ・立上り配管周りを目視。濃いシミ、線状の濡れ、乾きムラ、コンクリの白華(白い粉)を探す。
- トイレは食紅テスト(タンクに色水→30分後、便器側に色が出たら内部漏れ)。
◾ 判断と次の行動
- メーター微回転+外構に異常 → 屋外配管を優先調査。外構の写真を複数角度で残す。
- メーター微回転のみ → 屋内の止水不良(トイレ・蛇口・給湯周り)から順に潰す。
- どちらも異常なし → 時間帯を変えて再確認(深夜・早朝は判別しやすい)。継続するなら調査相談へ。
⬛ 戸建て(非分譲地:敷地広め・外水栓が多い)
◾ 結論
- “1系統ずつ閉じてメーターの挙動を見比べる”方法で、広い敷地でも漏れている枝(系統)を絞り込みます。
◾ 理由
- 外水栓や散水栓が点在し、枝分かれが多いほど一気に当てるより順番に潰す方が早く確実です。
◾ 手順
- 外水栓(散水栓・外流し)を1本ずつ閉じる→60秒メーター観察を繰り返す。
- 変化が出た栓/出ない栓を紙に書き出す(位置のラフ図があると最高)。
- 物置や重量物の直下に配管が通っていないかも目視で確認。
- 地面の沈み・芝の異常成長・土の柔らかさも同時に記録。
◾ 判断と次の行動
- 特定の栓を閉じると回転が止まる → その枝の屋外配管が第一疑い。写真とラフ図を共有して調査へ。
- どの栓を閉じても回る → 屋内や基幹管(元管)側の可能性。屋内止水不良の切り分けに移行。
⬛ 井戸ポンプ併用(ポンプで加圧して給水)
◾ 結論
- 不在時でもポンプが小刻みに起動する/圧力計が一定まで戻らないなら、漏れの疑いが強い。起動間隔と圧力の振れ幅を記録してください。
◾ 理由
- 漏れがあると配管内圧が落ち続け、ポンプが頻繁にON/OFFします。記録があると診断が速く、無駄な往復点検を減らせます。
◾ 手順
- 家族が誰も使っていない時間帯にポンプの起動音の間隔を測る(例:5分おき等)。
- 可能なら圧力計の数値を起動前後でメモ(例:0.25→0.40MPaで停止 等)。
- ポンプ周りに湿り・錆汁・砂こし器の濁りがないか目視。
- メーターの微回転も合わせて60秒確認。
◾ 判断と次の行動
- 短い間隔で勝手に起動/圧が戻り切らない → 漏れの優先疑い。起動間隔・圧力の記録と共に相談。
- 起動は稀・圧も安定 → 漏れの可能性は低め。別要因(逆止弁・タンク等)も視野に。
⬛ マンション・アパート(専有部の異常)
◾ 結論
- 専有部の簡易チェック(食紅テスト・微音確認)を済ませたら、管理会社の連絡フローを先に確認。共有部に触れる可能性があるため、手続き順が重要です。共用部に関わる作業は、管理会社の承認前に行わないでください。
◾ 理由
- 共用配管や下階への影響が絡むと勝手に作業できません。先に窓口を確認すると対応が早まります。
◾ 手順
- トイレの食紅テスト(30分後、便器側に色が出たら内部漏れ)。
- 夜間に浴室・洗面・キッチンで微かな「サー音」を確認。ティッシュで根元を拭き、にじみを見る。
- メーターの微回転を60秒。
- 以上をメモ・写真化して管理会社へ連絡(専有/共用どちらの可能性が高いか伝える)。
◾ 判断と次の行動
- 専有側の異常が濃厚 → 専有内での修理段取りへ(管理会社に事前報告は必須)。
- 判断がつかない/共用の可能性 → 管理会社経由での調査手配を要請。
⬛ リフォーム直後・外構工事後(直近で“どこかを触った”)
◾ 結論
- 「触った範囲」と「症状の位置」を写真で結び、施工ラインの直上・直下を重点確認します。直近施工と症状が重なる場合、当たりが速くつきます。
◾ 理由
- 解体・掘削・打設・埋め戻しの直後は継手の緩み・ピンホール・被覆傷が出やすいからです。
◾ 手順
- 直近の工事内容と日付を箇条書き(例:デッキ新設、駐車場コンクリ打ち直し 等)。
- その周辺の濃いシミ・乾きムラ・白華を探す。
- 室内側の該当壁面・基礎立上りの内側も触診(冷たい・湿っている)。
- 写真を施工範囲→症状→全体位置の順で撮る。
◾ 判断と次の行動
- 施工範囲と症状が重なる → そのラインを優先して調査する。
- 離れている → 施工起因の可能性は低い。屋内・屋外の標準確認手順に従い確認を行う。
⬛ 冬季・凍結明け(寒波後・解凍後に異常)
◾結論
- 保温材の破断や隙間を直視点検し、凍結した日のメモと合わせて報告してください。解凍直後はピンホールが出やすいため、当たり付けが速くなります。
◾理由
- 凍結→膨張→解凍のサイクルで継手や細径部が弱くなります。場所の推定に日付情報が有効です。
◾手順
- 露出配管の保温材の裂け・濡れを確認。
- 給湯側(温水管)は特に要注意。給湯器周りの結露・滴下を確認。
- メーター微回転を60秒。
- 「いつ、どの時間帯に凍ったか」「解けた後の症状」をメモ。
◾判断と次の行動
- 保温材損傷+微回転 → その区間の漏れ疑い。写真と日付メモを添えて調査へ。
- 外観異常なしでも微回転 → 壁内・床下の可能性。屋内側の止水不良から順に切り分け。
⬛ 長期不在・空き家明け(再開通水のとき)
◾結論
- 「トイレ → 冷水 → 温水」の順に段階通水し、メーターの微回転とタンクの微流を先に潰します。最初の請求が跳ねる前に微小漏れを止めるのが近道です。
◾理由
- 長期停滞水のあとに一気に通すとパッキン痩せ・ゴミ噛みが表面化します。順番を守ると場所特定が容易です。
◾手順
- まずトイレ単独で通水(タンク充填→止水)。食紅テスト実施。
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- 次に冷水系(キッチン→洗面→浴室)を各1分ずつ流し、止水後に根元をティッシュで拭く。
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- 温水系は最後。給湯器を起動し、同様に各1分→止水→拭き取り。
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- 通水の合間にメーター微回転を都度60秒確認。
◾判断と次の行動
- 止水後に根元が湿る/タンクで色水が便器へ → その器具が原因。部品交換を手配。
- 器具問題なしでも微回転継続 → 屋外配管や壁内の可能性。写真とチェック記録を添えて相談。
⬛ まとめ
- まずはメーターの微回転を見る。 同じタイミングで「外構の濃いシミ・乾きムラ」や「室内の微音・にじみ」を確認。
- 分譲地は屋外/屋内の早期切り分け、非分譲地は枝ごとに順番に潰す。
- 井戸ポンプは“起動間隔と圧力の記録”が特効薬。
- 集合住宅は手続き順が命。 先に管理会社の窓口を確定。
- 直近工事・寒波・長期不在など「きっかけ」がある時は、そのラインから優先順を上げて確認する。
- 異常が二つ同時に出たら優先範囲を絞る。(例:メーター微回転+外構の濃いシミ → 屋外配管優先)
ここまで実施して「微回転が続く」「外構に明確なサインがある」「ポンプが勝手に動く」のいずれかに当てはまる場合は、写真・メモ・簡単な位置図を揃えてご連絡ください。当たり付けができている分、調査が短く済みやすく、結果的に負担の最小化につながります。
🟩 8|調査から修理までの流れ
― 連絡 → 現地確認 → 調査 → 修理 → 検証 → 報告を、一気通貫で解説します ―
この章は、はじめての方でも迷わないように**「説明 → 手順 → 準備 → 当日の流れ → 終わった後」の順でまとめています。費用の数字やエリアの話は別章に分け、ここでは実務の進み方だけ**に絞ります。
⬛ 連絡前にそろえておくと話が速い“3点セット”
◾結論
以下の3つを用意していただくと、電話やLINEが数分で要点共有まで進みます。
- メーター動画(60秒):家中の蛇口を止めた状態で、銀の羽根(パイロット)が回るか撮影。
- 症状写真:濃いシミ/乾きムラ/局所湿り/白華(コンクリの白い粉)などを全体→寄りの順で2〜3枚。
- 起点メモ:いつから・どの場面で・どの頻度で気付くか(例:夜間に水音、ポンプが不在時も起動 等)。
◾理由
- 初動の仮説が立つため、現地確認での当たり付けが速く、ムダな再訪を減らせます。写真・メモがあるほど工数が減りやすく、調査が短く済みやすいです。
⬛ 最初の連絡でお伺いすること
- 症状:水道料金の増減/水音/湿り・カビ臭/井戸ポンプの起動状況 など
- 建物と敷地:分譲地か/外水栓や散水栓の数/直近の外構・内装工事の有無
- 設備:給湯方式(直圧/エコキュート等)/温水側でも症状が出るか
- 季節要因:寒波・凍結の有無、解凍後に変化があったか
- ここまでを共有いただくと、現地確認の持ち物・人員・調査順番を事前に最適化できます。
⬛ 現地確認(目的と当日の流れ)
◾目的
- その現場で調査が成立するか/どの方法が適切か/どこから当てるかを決め、必要なら概算の考え方を説明します(費用の詳細は見積工程でご案内)。
◾当日の流れ
- 入口ヒアリング:症状の再確認、メーター挙動のその場確認。
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- 屋外目視:立ち上がり配管/外水栓/駐車場・アプローチの変色や白華。
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- 屋内点検:トイレの食紅テスト、蛇口根元のにじみ、浴室・洗面の微音。
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- 調査計画の仮組み:どの機器をどう組み合わせるか、家族の生活時間との調整。
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- ご説明:今日できること/別日で実施すること/作業に向けた注意点(ペット、車の移動、立入可否など)。
◾お願い
- 物置・重量物の直下が配管経路の可能性がある場合、立入や移動の可否を事前にご相談ください。
⬛ 調査(初動 → 本調査)
◾初動調査(短時間)
- メーター挙動の再確認/屋外・屋内の優先度付け/止水不良(トイレ・蛇口)の切り分け。
ここで「漏れの有無」と方向性を掴みます。
◾本調査(機器の組み合わせ)
- 音聴調査:配管や路面から「シュー」「サー」音を拾う。浅い配管や金属管に強い。
- トレーサーガス調査:安全な水素等を注入し、漏れたガスを検知。音の出にくい・深い場所に強い。
サポート観察:サーモ(温度差)、表面変色、白華や乾きムラの連続性。ガス機器や元栓の操作に不安がある場合は、操作せず現状のまま情報を共有してください。
◾なぜ組み合わせるのか
- どの方法にも得意・不得意があります。たとえば騒音が大きい場所では音聴を短時間に絞り、代わりにガス検知を厚くする、といった具合に現場条件で配分を変えます。
◾日程についての正直な話
- 雨天や大量の生活騒音が重なる時間帯は、一部の機器で判別しづらくなることがあります。無理に続行するより、条件の良い時間に改めた方が正確です。
- その判断は現地で理由を添えてご説明します。
⬛ 修理(部分交換/入れ替え/バイパス)
◾方針の立て方
- 漏れが一点なら部分交換が最短。
- 配管の劣化が面的に進んでいる場合は入れ替えが長期的に得。
- 地中深くて掘削が難しい区間はバイパス新設が現実解。
◾工事中の配慮
- 断水を行う時間帯は、前もってご相談のうえで決定します。
- 外構の切断・復旧が伴うときは、復旧方法と仕上がりまで説明します。
- 植栽・門柱・車両などは事前に保護計画を立てます。
⬛ 検証(直ったことを数字で確認)
修理が終わったら、直った事実を見える化します。
- 水圧試験:一定圧で保持し、圧の落ちがないか確認。
- 通水確認:蛇口・トイレ・給湯器すべてで水の出方をチェック。
- メーター停止確認:家中を止めてパイロットが止まることを目で確認。
⬛ 報告とアフター(再発防止までセット)
◾報告内容
- どこに・なぜ漏れがあったか(写真が撮れた場合は前後比較)。
- 採用した修理方法とその理由。
- 近接区間の劣化傾向や次に起きやすい場所の注意点。
◾アフターの考え方
- 冬前の保温点検、長期不在前の止水手順、外構工事を予定する場合の事前相談ポイントなど、暮らし方に合わせた予防策をご提案します。
- 書面・画像の受け渡し方法(紙/データ)はご希望に合わせます。
⬛ よくある“つまずき”と回避策
- 物置・車の直下を調べたい:移動が難しい場合は、代替手段(別ルートからの当て方)を現地で提案します。
- 鍵・立入の段取り:集合住宅や離れがある場合は、事前に解錠手配をご確認ください。
ペットがいる:出入りが多い工程では、一時的な別室待機をお願いすることがあります。
- 作業音:音聴器・コア抜き等で一時的に音が出る場面があります。近隣への配慮や時間帯の調整をご一緒に行います。
- 雨天:検出効率が落ちる機器があるため、当日朝の気象でリスケ判断を相談します(理由を説明します)。
⬛ まとめ:要点
- “連絡前の3点セット”(メーター動画・症状写真・起点メモ)が初動の質を決める。
- 現地確認の目的は、①最短ルートの設計。②当日できること、別日に回すことを切り分けること。
- 調査は組み合わせが基本。現場条件に応じて配分を変え、精度を上げる。
- 修理は3択(部分交換/入替/バイパス)。長短所を説明して方針を共有。
- 検証は数値と目視で(水圧・通水・メーター停止)。
- 報告と予防までがワンセット。次のトラブルを前倒しで潰す。
🟩 9|症状別ケーススタディ&最短の初動フロー
― “うちの症状”から入って、正しい一手に最短到達 ―
ここでは、相談が多い4パターンを取り上げて、何が起きているのか → その場で確かめる → すぐ出来る対処 → 次に進む判断の順でまとめます。道具は基本的に不要(または家にあるものだけ)です。
⬛ トイレが“なんとなく回復しない”/便器で水面が揺れる
◾何が起きている?
- タンク内の止水不良(ボールタップ・フロートバルブなど)で、目に見えない微流が24時間積み上がっている可能性。メーターの微回転と請求増につながりやすい代表格です。
◾その場で確かめる
- 耳:静かな時間に便器側へ近づけ、「チョロチョロ」「サー」という微音がないか。
- 食紅テスト:タンクに数滴。30分放置後、便器側に色が出たらタンク漏れ確定。
- メーター:家中を止めてパイロット(銀の羽根)がゆっくりでも回るか。
◾すぐ出来る対処
- 止水栓を全閉→半回転開で“応急弱め出し”にして様子を見ると、悪化度合いの抑制になる場合あり。
- 便器内に流れ出るタイプは、早期の部品交換が最短・最安の解決策。
◾次の一手(判断)
- 食紅で色移行あり:トイレ系の修繕を優先(第9章の流れで連絡→現地確認へ)。
- 色移行なし+メーター微回転:別系統の可能性。屋外・他水栓に視点を切替。
◾やってはいけない
- タンク内の部品を無選定でネット購入し総替え:型式不適合で再漏れ・二度手間になりがち。
⬛ 庭・駐車場に“濃いシミ/乾きムラ”が続く
◾何が起きている?
- 屋外立ち上がりや地中配管の微漏れ。コンクリやインターロッキングの色むら/白華(白い粉状)が“長く同じ場所に”現れるのが典型です。
◾その場で確かめる
- 連続観察:雨後2日、晴天2日で同じ範囲が濃いまま固定されるか。
- 局所比較:隣接面と温度差(手のひらでOK)。漏れ点はひんやりを感じやすい。
- メーター:家中停止でパイロットが周期的に動く→止まるを繰り返すなら“微漏れ寄り”。
◾すぐ出来る対処
- その範囲に常設散水・自動潅水がないか確認(機器起因の誤認を先に排除)。
- 写真は全景→寄り→境目の順で3枚。第9章の「3点セット」に載せて連絡。
◾次の一手(判断)
- 連続観察で“同じ形の濃い面”が残る:屋外優先の調査が効率的。
- 形が毎回変わる:雨水排水など別ルートの可能性。現地で切り分け。
◾やってはいけない
- シミの上から高圧洗浄で均す:痕跡が消え、調査の糸口を自分で消してしまいます。
⬛ 井戸ポンプが“やたら起動”/不在でも動く
◾何が起きている?
- 配管側の圧力抜け(漏れ)で、圧力スイッチが短周期ON/OFFに陥っている可能性。電気代増だけでなく、スイッチ・モータの寿命を縮めます。
◾その場で確かめる
- 起動メモ:誰も使わない時間帯(夜間・外出時)に何分間隔で動くか。
- 圧タンク:タンク周りににじみ・錆筋がないか。
- メーター相当:井戸はメーターが無いので、音/振動を基準に“不在時起動”の有無を確認。
◾すぐ出来る対処
- 夜間の主立水栓を一時閉(可能なら)。起動が止まるかで屋内側/屋外側の切り分け。
- ポンプ周辺の常時開放バルブ(屋外流し等)を一旦閉じ、挙動が変わるか点検。
◾次の一手(判断)
- 不在時にも一定間隔起動:漏れ寄り。屋外からの優先確認が効率的。
- 起動が季節依存:凍結ダメージの既往や保温材の破れを疑う。
◾やってはいけない
- 起動間隔が短いのにそのまま運用:過熱→停止→再起動の悪循環で故障を招きます。
⬛ 給湯器まわりが“しっとり”/湯が安定しない
◾何が起きている?
- 温水側の微漏れ。水より被害拡大が早く、湿度上昇→建材劣化→光熱費増が同時進行しがち。
◾その場で確かめる
- 触覚:給湯器下の配管保温材がしっとり・柔らかい(内部吸水)か。
- 運転音と匂い:運転停止後もしばらく金属が冷える匂い+微音が続くか。
- 湯だけ止水:可能な構成なら温水側を一時止水し、症状(湿り・音)の変化を見る。
◾すぐ出来る対処
- 保温材の破断や露出があれば写真に残す(剥がさない)。給湯器下の排水受けトレイ設置(一時的)。床・壁への二次拡散を抑えるため。ガス機器や元栓の操作に不安がある場合は、操作せず現状のまま情報を共有してください。
- 給湯器下の排水受けトレイ設置(一時的)。床・壁への二次拡散を抑えるため。
◾次の一手(判断)
- 湯側止水で症状が引く:温水系優先の調査計画に切替。
- 冷温どちらも変化なし:屋外・床下の別区間も併走で確認。
◾やってはいけない
- 保温材を全撤去→丸裸にする行為:短時間で結露・腐食が進みます。現地で必要量のみ開けます。
⬛ 「症状がハッキリしない」ケースの進め方
◾症状が散発/季節で変わる
- 記録が最短ルートになります。気付いた時刻、天候、使用場面(洗濯後・入浴後など)を一行メモでOK。3日分あるだけで、確認する順番を設計できます。
◾家屋内は異常ゼロ、でも請求は高い
- 屋外系の優先度を上げて調査計画を組みます。立ち上がり・散水栓・駐車場下など、“外構一点傷”の見落としが多いパターン。
- メーター微回転×屋外の固定シミが同時にあるなら、屋外から入るのが早い。
⬛ “やりがちミス”を先に潰す:共通NG
- 高圧洗浄・漂白剤で痕跡を消す:調査の取っ掛かりを自ら消失。
- 一斉DIY交換:型式不適合や逆効果で再漏れ・工期延長の原因に。
- 調査当日の大規模工事・引っ越し作業と重ねる:路面音聴や微音判定の妨げになります。
- ペットフリーで出入り:一時的な別室待機のご協力を。安全第一で進めます。
🟩 10|まとめと次のステップ
漏水は自然治癒せず、時間とともに流量・請求・湿気・建材劣化が加速します。小さな傷でも水圧と温度変化で口が広がり、生活への影響はじわじわと大きくなります。放置せず、まず現状を軽く押さえることが、最短で終わらせる近道です。
⬛ 最初に行うこと(60秒の判定)
- 家中の水を止め、水道メーターの銀色パイロットが60秒のあいだ動かないかを確認してください。
- 連絡の際は、住所(番地まで)、建物種別、給湯方式、井戸ポンプの有無をお知らせください。いただいた情報を起点に、その現場に合った段取りを初回から組み立てます。
⬛ 症状別・優先チェック例
状況が近いものから順番に進めると、無駄なく絞り込めます。
◼️ 不在時でも井戸ポンプが動く
- ①屋外の立ち上がり配管で音の確認
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- ②地中本管を路面から音で確認
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- ③屋外の蛇口系統を順番に止めて反応を見る
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- ④屋内側の末端を順番に止めて反応を見る
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- ⑤必要に応じてガスを用いた検査で位置を狭める
◼️ トイレが疑わしい(食紅は移らないがメーターの羽根が回る)
- ①タンク内の音の確認
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- ②止水して個別に反応を見る
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- ③給湯器まわりを確認
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- ④屋外の立ち上がりを確認
⬇
- ⑤必要に応じてガスを用いた検査
◼️ 駐車場に毎回同じ形の濃いシミが出る
- ①シミの中心と周辺で路面の音を比べる
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- ②境目の差を確認する
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- ③該当の支線にガスを入れて反応を見る
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- ④反応点を固定して位置を特定する
◼️ お湯の配管が疑わしい(お湯が不安定、床下が温かく湿っぽい)
- ①給湯器の一次側と二次側で音の確認
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- ②お湯と水の元栓を個別に閉じて変化を見る
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- ③必要に応じてガスを用いた検査(お湯と水を別々に実施)
👉 漏水は自然治癒せず、時間とともに流量・請求・湿気・建材劣化が加速します。
◼️ まとめ
気になるサインが一つでもあれば、まずは60秒の判定を済ませてご連絡ください。静かな時間帯や立ち入りの可否など、現場条件に合わせて工程を組み、当日に使う機器と手順をその場で決めます。
目指すのは「最短で、最小の開口で、確実に止める」こと。再訪や無駄な作業を避ける設計で、工期と総額の負担を小さくします。
⬛ よくある質問
Q. 調査だけお願いして、修理は別でも大丈夫ですか?
A. 可能です。
調査で分かったことは当日にその場でご説明します。修理は他社にご依頼いただいても問題ありません。必要に応じて位置や範囲を現地で指さし確認します。
Q. トイレの食紅テストで色が移らないのに、メーターのパイロットが回ります。どうすればいいですか?
A. トイレ以外で水が動いている可能性があります。
まずは次の順で確認してください。
- 屋外の給水管(地面から出ている部分)や屋外の蛇口・散水栓に濡れやシミがないか。
- 給湯器まわり(お湯の配管)に湿り・結露・においがないか。
- 家中の蛇口を止めた状態で、もう一度パイロットが回るか。
👉 これで異常が見つからない場合は、現場で機器を使って場所を特定します。
Q. 屋外の濃いシミの形が毎回変わります。漏水の可能性はありますか?
A. 雨水や排水の影響の可能性があります。
「雨の翌日」と「晴れて2日後」の両方で見比べ、同じ場所だけ濃いまま残るかを確認してください。
- 同じ場所だけ残る → 給水管の水漏れの疑いが高いです。
- 形や場所が毎回変わる → 雨水・排水の影響の可能性が高いです。
👉 観察の際は、全体→寄り→境目の順でスマホ写真を残しておくと、現地での確認が早く進みます。
Q. 調査の痕跡は家に残りますか?
A. 基本は壊さない方法で確認します。
必要がある場合だけ、最小限の穴あけやコア抜きを行います。その際は場所・大きさ・復旧方法を事前に説明し、了承をいただいてから作業します。
Q. 訪問までに何を準備すればいいですか?
A. 次の4点だけお願いします。
- メーター動画(約60秒):家中を止めた状態でパイロットが回るか。
- 症状写真:濃いシミ・湿り・結露などを全体→寄り→境目で数枚。
- 分かる範囲の情報:給湯器の種類(直圧か貯湯か)、井戸ポンプの有無、直近の外構や内装工事の有無。
- 作業スペースの確保:点検口・給湯器まわり・屋外蛇口まわりの前を空けてください。機材の搬入ルート(玄関→浴室/屋外)も通れるようにしておいてください。必要なら車の移動やペットの一時待機もお願いします。
🟩 11|まとめ
漏水は放っておいても収まりません。配管の小さな傷口でも、水圧や温度変化の影響で少しずつ広がり、失われる水量は増え続けます。請求が上がるだけでなく、湿気がこもって建材が傷み、設備の負荷も高まります。とくにお湯の漏れは、湿度上昇とエネルギー消費が重なり、進み方も費用のふくらみ方も速いのが特徴です。
被害を大きくしない最短経路は、早い段階で現状を確認し、状況に合った調査と修理に進むことです。現地で配管の通り、騒音、仕上げ、立入りの可否を直接確認できれば、使う機器と作業手順をその場で適切に決められます。結果として、無駄な再訪や余計な開口を避けやすく、工期と総額を抑えられます。
痕跡は消さず、そのままにしてください。外構の濃いシミや床下の湿り、機器の挙動など、目に見える手がかりが特定の近道になります。思いつきの高圧洗浄や部品の総替えは、かえって遠回りになりがちです。
小さな違和感のうちに手を打てば、直す範囲は小さく、生活への影響も短くできます。気になる点が一つでもあれば、現状のままご相談ください。現場で確認した内容を基に、最短で特定できる進め方をご案内します。
🟩 12|さいごに
漏水は自然には止まりません。小さな傷でも、水圧や温度変化で口が広がり、失う水の量は増え続けます。請求が上がるだけでなく、湿気がこもって建材が傷み、機器にも負荷がかかります。お湯の系統で起きている場合は、進み方も費用のふくらみ方も速いのが現実です。
思い当たるサインが一つでもあれば、次の二つだけ実施してください。
- 蛇口・トイレ・洗濯機・給湯器をいったん止め、メーターボックスを開けて銀色の羽根が回っていないかを六十秒見ること。
- 外構の濃いシミや室内の湿りなど、気になる場所を全体→寄り→境目の順で数枚撮ること。
ここまでで、次に進む判断材料はそろいます。
私たちは、現場で状況を確認したうえで使う機器と手順をその場で決め、最短の流れで特定から修理まで進めます。痕跡は消さず、そのまま伝えてください。必要以上に壊さず、最小の範囲で止めて、早く普段の生活に戻せるよう対応します。
⬛ 前半|基礎編に戻る場合はこちら
仕組み/一次判定/手法の使い分け/費用の考え方を整理しています。
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