🟩 井戸ポンプFAQシリーズ|リクエスト編(第3回)
修理で伺った際にいただいた質問にお答えします
このシリーズは、井戸ポンプの修理・交換、漏水調査の現場で実際にいただく質問をまとめた“現場型Q&A企画”です。専門的になりすぎないよう配慮しつつ、押さえるべきポイントを分かりやすくお届けします。
⬛ 今回のテーマ
「JPS-4051Fが動いているのに水が出ない原因はどこ?」
深井戸用ジェットポンプは、揚水管内に水が満たされていないと吸い上げができません。呼び水が抜けるとポンプ自体は動いていても水が出ないため、これが典型的な原因になります。
今回は、実際の現場で起きたケースをもとに、仕組みと判断ポイントをご説明します。
🟦 今回のご相談(修理で伺った際の質問)
千葉県富里市にて、深井戸用ジェットポンプ(イワヤ JPS-4051F)をご使用中のお客様から、「ポンプは動いているのに水が出ない」というご相談を受け、点検のご依頼をいただきました。
🔷 施主情報
- 千葉県富里市在住
- 戸建て住宅(2階建)
- 用途:生活用水
🔷 設備情報
- 種類:深井戸用ジェットポンプ
- 型式:イワヤポンプ JPS-4051F
- 使用年数:15年
- 電源:単相100V
- 出力:400W
◼️ 質問:ポンプは動いているのに水が出ません。どこが悪いのでしょうか?
◼️ 回答:揚水管の中の水が抜け落ちています。
深井戸用ジェットポンプは、吸い込み管と圧送管の2本1組の揚水管とジェット部を連結接続して水を汲み上げる構造です。また、水を汲み上げるためには揚水管の中が水で満たされている必要があります。
そのため、揚水管の末端部にあるジェット部の一方弁が止水できないと、揚水管に溜めた水が保持できず井戸側へ抜け落ちてしまいます。揚水管の中が水で満たされていない状態では、ポンプがいくら回っても水を汲み上げることができません。このため「ポンプは動いているのに水が出ない」という症状が発生します。
🟦 水が抜け落ちるおもな原因
1️⃣ ジェット部の経年劣化 ➔ 弁の摩耗
10年以上使用すると内部の弁構造が摩耗し、止水精度が低下します。
特に12年を超えて使用している場合は、止水精度が大幅に低下して水が抜け落ちる可能性が高まるため、使えているうちに交換を行うのが理想です。
2️⃣ 砂の影響 ➔ 弁の損耗
井戸水に砂が混ざる環境では、一方弁とその周囲が傷つき止水不良に繋がります。砂の吸い込みは完全には防げないため、数年おきの交換検討が必要となります。
3️⃣ 水質の影響 ➔ 弁の動作不良
スケール(鉄分・水垢・沈殿物)が一方弁やそのまわりに付着し動作不良を起こします。未使用期間が長い場合であっても沈殿物が固着しやすく、弁の動きが悪くなります。
4️⃣ 揚水管の経年劣化 ➔ 管の損傷や外れ
可能性は最も低いものの、樹脂製ネジ山の亀裂や接着部の劣化によって水が抜け落ちることがあります。揚水管は2本1組で長い距離を支えるため、荷重でひび割れが生じることもあります。
🟦 現場状況と点検内容
現着時には、ポンプが動いたままで、水が出ていない状況でした。通電を切ったあと、地上部ユニットの点検を行いましたが、消耗部品(圧力スイッチ・パワーリレー・圧力タンク)は数年前に交換済みとのこともあり、動作や外観に問題はなく、モーター部の絶縁不良もありませんでした。
またポンプ本体の点検においては、ポンプ内に貯まっているはずの水が空の状態でした。呼び水を繰り返し補充しましたが満水になることはありませんでしたので、ジェット部の故障が原因で井戸内に呼び水が抜け落ちていることが推測できました。
🔷 詳細
- 揚水管に呼び水が溜まっていないために、ポンプは動くが水が汲み上がらない状態だった。
- 長時間、ポンプが空運転を行っていたため、モーター部が高温となり、焼き付く寸前だった。
- 呼び水を繰り返し補充しても揚水管内が水で満たされないため、井戸内に水が抜け落ちている状態だった。
🟦 点検結果
- 地上部ユニット(モーター部、起動停止スイッチなどの電装部位)に異常はなし。
- 井戸側の揚水管系統の異常を確認(ジェット部の故障)
🟦 施主への報告内容
- ジェット部の交換が必要
- ジェット部の交換には、揚水管の全引き上げが必要
- 後年に起こるモーター部の交換を考慮すると、ジェット部との同時交換を推奨
🟦 その後の対応
ジェット部だけを新しくすると、地上部ユニットとの間において使用年数の差が生まれ、一方だけが繰り返し故障しやすくなります。そのため今回は下記の理由を含め、揚水管・ジェット部・地上ユニットの三点を同時交換する方針としました。
🔷 井戸ポンプ交換に至った理由
- ジェットポンプは、ジェット部とモーター部の両方が正常でないと揚水ができないため、使用年数に差を設けないことが望ましい。そのため、同時交換が理想。
- 揚水系統と地上ユニット系統において使用年数に差が出ると、片方だけが壊れ続ける非効率状態が続く
- ジェット部だけを先に交換すると、後年モーター部交換時に再工事となり工費が重複する。
🔷 工事内容
- ジェット部の交換
- 揚水管(吸い込み管・圧送管)全交換
- 地上ユニット(モーター部・電装部)の交換
🟦 工事の結果
揚水管・ジェット部・地上ユニットを一式交換することで、水が使えるようになり、揚水性能(揚水量、揚水圧力)は交換前に比べて上昇しました。
🟩 まとめ
今回の症状は、ジェット部の一方弁が止水できず揚水管内の水が保持できないことで発生していました。深井戸ジェットポンプは揚水管・ジェット部・地上ユニットが連動して動作するため、どれか一つが劣化すると「水が出ない」「止まらずに回り続ける」などの不具合につながります。
井戸側の部品は地上から見えにくいため、突然水が出なくなるケースが多い点も特徴です。使用開始から10〜12年を超えている場合は、動いていても内部劣化が進むため早めの交換検討が望ましい状態です。
🟩 最後にひと言
深井戸ジェットポンプは構造上、揚水管とジェット部の健全性が非常に重要です。今回の現場では井戸側の劣化が原因でしたが、適切な交換により揚水性能を正常に回復できました。
ポンプが動いているのに水が出ない、止まらずに回り続けるといった場合は早めの点検をご検討ください。またいつでもご相談いただければお力になります。
⬛ 次の記事(準備中)
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