ガス給湯器が突然止まる・燃焼しない原因|水圧・電磁弁・気温低下による誤作動の見分け方
――冬場に多発する「燃焼しない」「途中で止まる」現象を正しく見極める――
⬛ 本記事は「注意喚起シリーズ」第5回です。(ガス給湯器の制御異常編)
寒い時期になると、「途中でお湯が冷たくなる」「給湯器が止まる」「リモコンがエラー表示のまま再点火しない」といった相談が増えます。しかし、こうした現象の多くは、故障ではなく安全制御や外部環境の変化による一時的な停止です。
本記事では、冬季に多発するガス給湯器の誤作動型トラブルについて、仕組みと確認の順序を整理し、故障と判断する前に見直すべきポイントを解説します。
🟩 ガス給湯器の燃焼制御の仕組みと安全停止の条件
ガス給湯器は、点火から停止までを自動制御する仕組みを持っています。
まずは基本動作を整理し、どのような条件で安全停止が起こるのかを理解しておくことが重要です。
🟦 1. 燃焼制御の仕組み
ガス給湯器は、点火・燃焼・燃焼維持・停止という一連のサイクルを、センサーと電磁弁で自動制御しています。この流れのどこかで異常値を検知すると、安全のために燃焼を停止します。
具体的には、次のような条件が重なった場合に安全制御が働きます。
- 1️⃣ 点火時にガス圧または水圧が一定範囲を下回ると、着火できずにエラー表示となる。
- 2️⃣ 燃焼中に外気温が急低下すると、排気温度センサーが異常判定して燃焼を止める。
- 3️⃣ 水温センサーの応答遅れや、循環ポンプの停止でも安全遮断が作動する。
- ◾️ 補 足
燃焼停止は「壊れたから止まった」のではなく、「異常を検知したから止めた」動作です。安全制御の結果であることを理解しておくと、不要な修理依頼を防ぐことができます。
- ◾️ポイント
燃焼停止は、異常を未然に防ぐための保護機能です。一見すると故障のように見えても、内部では安全動作が正しく働いている場合があります。
🟦 2. 外的要因による誤作動
誤作動の多くは、外部の気温や水圧など“機器の外側”の環境変化によって起こります。
ここでは代表的な要因を3つに分けて整理します。
🔷 ① 気温低下
外気温が急激に下がると、燃焼排気が冷却され、排気温センサーが誤作動を起こすことがあります。この場合、再点火しても短時間で停止することが多く、夜間や早朝に集中します。こうした誤作動は、センサーや燃焼系統が外気の影響を受けることで発生します。
主な要因は次のとおりです。
- 1️⃣ 排気管の結露や霜がセンサー部に付着して誤判定を起こす。
冷え込みで排気の水蒸気が急速に冷却され、センサーが誤って異常と判断することがあります。
- 2️⃣ 低温環境ではガス圧が低下し、燃焼安定制御が解除されることがある。
寒冷時はガス圧が下がり、火力が不安定になるため、安全のために燃焼が停止します。
- ◾️ポイント
冷え込みによる停止は一時的です。気温が戻るか、機器周囲を暖めることで回復します。
🔷 ② 水圧変動
冬季は水道管凍結や使用集中によって水圧が下がりやすくなります。
一定水圧を保てないと、給湯器は燃焼を開始できません。このような状況下では、水圧の変化が燃焼制御に影響し、誤作動が起こることがあります。
代表的な例は下記の通りです。
- 1️⃣ 複数箇所で同時に給水すると圧力低下が起きやすい。
同時使用によって給水圧が不安定になり、燃焼維持ができなくなることがあります。
- 2️⃣ 井戸ポンプ併用では、吸上げ不良や圧力スイッチの応答遅れが原因となる。
ポンプの作動が間に合わず、水流が断続的になって燃焼が途切れる場合があります。
- ◾️ポイント
水圧が安定しない環境では、燃焼制御が誤作動することがあります。
バルブやポンプの作動を確認し、一定圧を確保することが重要です。
🔷 ③ 電磁弁の固着
長期間使用していないと、電磁弁内部が固着し、開閉動作が遅れることがあります。これにより、点火後すぐに燃焼が停止したり、着火が不安定になる場合があります。このような固着は、経年による部品劣化や内部腐食が進むことで発生します。
次のような要因が考えられます。
- 1️⃣ 湿気やサビによるバルブ動作の遅れ。
内部の金属部品が膨張や腐食を起こし、スムーズに動かなくなります。
- 2️⃣ 電気信号は正常でも、機械的に閉じているケース。
信号上は開閉していても、物理的に弁が固まって動かないことがあります。
- ◾️ポイント
電磁弁の固着は経年劣化が原因です。動作音がない場合やガス臭がする場合は、使用を停止して点検を依頼してください。
🟦 3. 故障と誤作動の見分け方
燃焼停止が起こった場合でも、すぐに「故障」と決めつけるのは早計です。
ここでは、再現性と発生条件を確認することで見分ける手順を示します。
🔷 ① 確認手順
燃焼が止まった場合は、いきなり修理を疑うのではなく、まず原因の切り分けを行うことが大切です。状況を整理することで、誤作動か故障かの判断がつきやすくなります。
確認の際は、次の順序で状況を確認し、機器が一時的な安全制御で止まっているのか、内部の部品異常で停止しているのかを見分ける手がかりとします。
ここでは「表示・環境・再現性」の3つを順番に見ます。
- 1️⃣ 表示:リモコンのエラーコードを確認する
エラー番号や点滅表示は、どの工程で停止したかを示す重要な手がかりです。コード内容によっては、外気温や水圧の影響で一時的に作動が止まっている場合もあります。
- 2️⃣ 環境:外気温や水圧の変化を観察する。
急な冷え込みや水圧の低下は、安全装置の誤作動を引き起こす要因です。天候や他の蛇口の使用状況を確認し、環境が原因かどうかを判断します。
- 3️⃣ 再現性:同一条件で再運転してみる(再現性の確認)。
一度きりの停止なら一時的な制御、同条件で再び止まるなら機器内部の異常が疑われます。再現性を見ることで、修理が必要かの判断がつきやすくなります。
- ◾️ポイント
一時的な誤作動であれば、条件が整えば再運転で復帰します。再現性がある場合や異音・臭気を伴う場合は、部品劣化や基板異常の可能性が高く、点検が必要です。慌てて操作を繰り返すよりも、まず状況を正確に把握することが重要です。
🔷 ② 判断の目安
確認手順で状況を整理したあとは、停止のタイミングや環境条件を観察して判断します。発生のパターンを見比べることで、誤作動か故障かをある程度推測することができます。
- 1️⃣ 毎回同じタイミングで停止する → 故障の可能性。
- 2️⃣ 気温や時間帯によって変化する → 環境要因の可能性。
- 3️⃣ リモコン操作で復帰する → 一時的な制御停止。
- 補 足
これらの傾向を比較することで、制御上の安全停止か、実際の不具合かを見極められます。停止の頻度や条件を記録しておくと、業者への説明や点検時の判断がスムーズになります。
- ◾️ポイント
「いつ止まるか」を観察すると、誤作動か故障かの判断が容易です。
特定条件でしか再現しない場合は、制御上の一時停止の可能性が高いです。
🟦 4. 冬季に起こりやすい誤判断
寒冷期は、防凍制御や安全停止を“故障”と誤解してしまうケースが多く見られます。
冷え込みによって一時的に燃焼が止まることは珍しくありませんが、誤った対処をすると、かえって再始動できなくなる場合があります。
ここでは、誤認しやすい例と正しい対応をまとめます。
🔷 誤認と対応のポイント
- 1️⃣ 防凍運転中の電源遮断
冬の夜間や早朝に停止すると、故障と勘違いしてブレーカーを切ってしまうことがあります。
しかし、この停止の多くは防凍制御や安全遮断による一時的な動作であり、電源を切ると翌朝に制御がリセットされて再始動できなくなることがあります。
- 2️⃣ 安全停止中の再起動操作
安全制御の最中に再起動を繰り返すと、機器内部のリセットエラーや凍結を招くことがあります。この状態では通電を維持し、気温の回復を待つ方が安全です。
- ◾️ポイント
夜間の停止や動作音の変化は、防凍や安全動作の一環であることが多いです。焦ってブレーカーを切らず、電源を入れたまま様子を見ることで、多くは自然復帰します。
🟩 まとめ
冬季は外気温や水圧の変化によって、ガス給湯器の燃焼が一時的に止まることがあります。こうした停止の中には、安全装置が正常に作動して一時的に燃焼を制御している場合もあれば、部品の経年や環境条件の影響が重なって発生する場合もあります。どちらのケースでも、まずは現象を正確に把握することが重要です。
リモコンの表示内容や外気温の変化、他の蛇口での水量などを確認し、「いつ・どんな条件で止まったか」を整理しておくことで、誤作動か故障かを判断する手がかりになります。環境変化が落ち着けば動作が戻ることもあり、焦らず確認を進めることが大切です。
🟦 確認時に意識しておくこと
燃焼停止が一時的か、内部異常によるものかを見分けるためには、確認の順序と視点が大切です。次の4点を意識して整理してみてください。
1️⃣ 気温や天候の変化を確認する。
寒暖差や強風によって排気の流れが乱れ、センサーが一時的に反応することがあります。気象条件を把握することで、自然復帰が見込める一時停止かどうかを判断しやすくなります。
2️⃣ 停止が繰り返される場合は、発生の時間や条件を記録する。
同じ現象がどのタイミングで起きるかを整理しておくと、誤作動か故障かを区別しやすくなり、相談時にも状況を正確に伝えられます。
3️⃣ 不安定な状態では、再起動を繰り返さない。
内部で安全制御が働いている場合、連続操作によってセンサーや弁に負荷がかかるおそれがあります。時間をおいてから再確認することが安全です。
4️⃣ 原因が分からないときは、状況を整理してから相談する。
気温・時刻・運転状態などの情報をまとめておくと、点検時に的確な判断が得やすくなります。
🔷 補 足
燃焼停止は必ずしも異常とは限りません。同じ「止まる」という現象でも、要因は一つではなく、誤作動と故障が重なって現れることもあります。どのような条件で発生したかを整理し、必要に応じて専門家に状況を伝えることで、再発防止や点検の精度を高めることができます。
🕓 更新日:2025年12月予定
※ 本記事は家庭用ガス給湯器を対象としています。
※ 機種・メーカーによって制御内容やセンサー構成が異なります。

