千葉県印西市|全面コンクリート下での無音漏水をトレーサーガスと音聴調査で特定&修理
🟩 千葉県印西市|漏水調査事例【井戸水】【砂質地盤】
千葉県印西市の築30年・木造2階建て住宅で実施した漏水調査・修理の事例です。
建物外周部が全面コンクリートで覆われ、配管は建物を囲うように埋設されていました。音も濡れ跡もなく、地表からは漏水の有無を判断できない典型的な“無音漏水”の現場でした。
水素系トレーサーガスと音聴調査を併用し、注入圧と検知方法を段階的に切り替えながら、二箇所の漏水を特定・修理しました。
本事例は、全面コンクリート下における配管漏水を、非破壊のハイブリッド調査で特定した技術報告です。
🟧 要 点
◾ 調査手法:水素系トレーサーガス+音聴調査によるハイブリッド特定。
◾ 発見内容:チーズ部・エルボ部の線状亀裂による微細漏水を2箇所確認。
◾ 漏水の数:2箇所。
◾ 期間:2日(本調査・修理1日/現状復旧1日)。
◾ 環境:全面コンクリート舗装・砂礫質地盤で音・濡れ跡反応なし。
◾ 難易度:特高(音・ガス反応ともに極めて微弱な環境)。
🟧 調査の手法と手順
◾ 水素系トレーサーガス法を主体に、音聴調査・圧力挙動観測を併用。
◾ 圧力計降下を確認後、加圧0.18→0.23MPaに調整してガス注入を実施。
◾ 初回調査では濃度差が得られず、穿孔30cm間隔で再調査。
◾ 音聴棒により地中音を確認し、チーズ部・エルボ部で漏水音を検出。
◾ 掘削で線状亀裂を確認し、HIVP管と専用継手で修理。
◾ 修理後、再注入にてガス検知なし・水圧安定を確認し完了。
🟦 現場状況
◾ 敷地:全面コンクリート舗装の戸建住宅外周部。
◾ 配管:外周を一周する給水ルート、分岐多数・埋設深さ約40cm。
◾ 地盤:砂礫質で透水性中〜高。
◾ 条件:密実な地盤と厚舗装により音が減衰し、地表に反応なし。
◾ 環境特性:コンクリート構造が音を反射・拡散し、音聴調査の感度低下。
🟦 基本情報
◾ 千葉県印西市|戸建住宅|築30年・木造2階建|水道水
◾ 漏水量:1分あたり200mL未満(微細漏水・地表反応なし)
◾ 漏水箇所:VP管チーズ部/エルボ部(線状亀裂4〜6cm)
◾ 調査日数:本調査+修理1日/現状復旧1日
🟦 家屋と設備状況
◾ 家屋構造
▪️ 木造2階建て住宅
▪️ 築30年
◾ 設備構成
▪️ トイレ1箇所(ロータンク式)
▪️ 洗面化粧台1箇所
▪️ 台所1箇所
▪️ 浴室1箇所(サーモスタット式シャワー水栓)
▪️ 洗濯機水栓1箇所
▪️ 給湯器1基
▪️ 外水栓柱2箇所
🟦 構 成
◾第1章|ご依頼の背景と現場概要
◾第2章|初動調査と判断経過
◾第3章|トレーサーガス調査と穿孔検知
◾第4章|二箇所の特定と修理内容
◾第5章|調査結果の考察(ガス挙動・音聴分析)
◾第6章|総評と再発防止・ご案内
🟩 調査前の確認工程
調査に入る前に、建物外周や配管構成を把握するための初動確認を行いました。
全面コンクリート舗装のため、音が伝わりにくく、地表からの手がかりが得にくい現場でした。そのため、まずは露出配管や水栓器具を中心に確認し、調査方針を決定しました。
🟦 初動調査(約90分)
下見(打合せ)と併せて実施。屋内外の露出配管・水栓・給湯器・外水栓を順に確認し、音聴器で水道メーター直後から建物外周のルートを走査。
🔷 明確な漏水音は聴取できず、全面コンクリート舗装が音伝達を遮断していると判断。
🔷 地表面からの検知に頼らず、トレーサーガスによる圧入調査で配管下部の挙動を探る方針を立てました。
🟩 調査方法の流れ
🟦 トレーサーガス調査の開始
▪️ 使用機器:水素系トレーサーガス(純水を電気分解し生成する不燃性ガス、ISO10156準拠)
▪️ 初回注入圧:0.18MPa。地表のガス検知では範囲が広がるが、局所的濃度差は見られず。
▪️注入圧を0.23MPaに上げて再調査するも同様の結果で、反応は全域で高濃度・均一状態。
🟦 穿孔による再調査
コンクリート路面に直径2cmの穿孔を30cm間隔で設け、再度ガス検知と路面音聴調査を併用。
1️⃣ 穿孔部すべてからガス浮上を確認。濃度差が出ないため音聴調査へ切り替え。
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2️⃣ 路面マイク部で検音した結果、わずかな音の差を確認。音聴棒へ切り替えて穿孔部を一点ずつ検音。
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3️⃣ 地中から響くガス音に強弱差があり、最も音の大きかった位置を中心に掘削を実施。
🟦 一箇所目の特定と修理
▪️ 掘削でVP管チーズ部の継手に亀裂を確認(線状約4cm)。
▪️ 耐衝撃性塩ビ管(HIVP)および専用継手で修理。
▪️ 通水確認時に水圧が安定せず、再調査へ。
🟦 二箇所目の特定手順
1️⃣ トレーサーガスを再注入し、2階分岐用ゲートバルブ付近で低濃度検知。
2️⃣ スピンドル部に滲み跡あり。1箇所目修理後、ガス流出量が変化し他所浮上の可能性あり。
3️⃣ 全域を再走査し、ゲートバルブ周囲の検知濃度が最も高い位置を確認。
4️⃣ 注入圧を0.23MPaへ上げ、かすかなガス音を検音。
5️⃣ 注入圧を0.33MPaまで上げて再測定し、明確なガス音を確認。
6️⃣ 穿孔部を追加し音聴棒で局所検音。音ピーク箇所を掘削し、ゲートバルブ付近エルボ継手部で線状亀裂(約6cm)を確認。
🟦 技術的考察
トレーサーガスはわずかな隙間を縫って移動し、ゲートバルブボックスを通じて地表に浮上。注入圧が低い段階では十分に到達せず、濃度変化が安定しなかったことが要因でした。
🟩 修理内容
▪️ 二箇所の破損部(チーズ部・エルボ部)をいずれもHIVP管および専用継手で修理。
▪️ 通水試験で水圧低下なし、メーターのパイロット停止を確認。
▪️ 管周囲を川砂で埋め戻し、管上部に山砂を敷設、その上に砕石を戻して排水性を確保。
▪️翌日、コンクリートを再打設して現状復旧を完了。
🟩 調査の結果と考察
本件の調査では、二箇所の漏水を特定するまでに複数の工程を経ました。注入圧の変化によるガス挙動の違いや、音聴器の使い分けによって情報を積み重ね、最終的に漏水箇所を確定しています。以下に、調査中に得られた知見を整理します。
🟦 ガス挙動の特徴
本件ではトレーサーガスが地中で約1m横方向に移動し、実際の漏水箇所とは異なる位置で高濃度を示しました。ガスは柔らかい砂層やコンクリート下の微細隙間を通過し、注入圧・土質・地盤密度により浮上経路が変わります。
🟦 調査精度の要点
▪️コンクリート舗装下ではガスが直上に上がらず、より大きな空隙を求めて横移動する。
▪️ 路面音聴調査では、ポンプ音や水流音に紛れて漏水音を拾いづらい。
▪️ガス注入時に聴取できる「ガス音」は漏出部近傍でのみ反応し、特定の決め手になる。
🟦 機器使い分けの重要性
高性能な路面音聴器は、路面マイク部と音聴棒部を状況で切り替え可能。掘削が難しい現場では、音聴棒を地中に差し込むことで地中音を局所的に拾える。これにより、地表で音が取れない現場でも確度を上げられる。
🟩 総 評
トレーサーガス調査は、隙間を縫って地表に浮上するため、必ずしも漏水箇所の直上で反応するとは限りません。本事例では、地中で約1m横方向に移動し、ゲートバルブボックスを介して浮上しました。柔らかい砂層や硬いコンクリート路面では同様の現象が起きやすく、現場ごとに条件が異なることを再確認できました。漏水調査では、土質・地盤密度・表層構造・配管深度・漏水量など、同じ現場は存在せず、臨機応変に調査手法を切り替える必要があります。複数の機器を併用し、多角的に確認することで、最小限の破壊で確実な特定が可能です。
🟦 お客様の声
コンクリートの下で漏れているとは思いもしませんでした。
地面も乾いていて音もせず、まさか水道管が破れているとは信じられませんでしたが、丁寧に調査していただいて本当に助かりました。説明も分かりやすく、修理後は水道メーターも止まり、水道料金も元に戻りました。家を壊さずに直していただけたことが一番うれしいです。
🟦 施工者のコメント
今回の現場は、全面コンクリート舗装と密実な砂礫地盤が重なり、音もガスも出にくい難条件でした。しかし、圧力挙動とガス濃度の変化を細かく観察することで、微細な異常を見逃さず二箇所を特定できました。
漏水調査は「反応が弱い=異常がない」ではなく、「反応が出にくい条件を読み取る」ことが重要です。印西市のような全面舗装の現場では、非破壊での正確な判断が今後ますます求められます。
🟩 さいごに
全面コンクリート下のように、水漏れの兆候が外から見えない現場でも、内部では少しずつ漏れが進行している場合があります。音がしない、地面が乾いているといった状態でも、メーターの回転や水圧の低下があれば早期の調査が必要です。当社では、印西市をはじめとした近隣地域でも、非破壊の調査手法を組み合わせて原因を特定し、最小限の工事で修理を行っています。水道料金の急増や、ポンプの異常運転など気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
🟪 ご案内
漏水は地表に現れなくても進行していることがあります。音や水の気配がなくても、水道メーターの回転や水圧の低下など、わずかな変化が漏水のサインである場合があります。早期に調査を行うことで、修繕範囲を抑え、費用負担を最小限にすることができます。
当社は、印西市をはじめ、成田市・佐倉市・富里市・八街市・四街道市・栄町などの印旛地域を中心に、千葉市若葉区・山武市・芝山町など、千葉県全域および茨城県南部でも調査・修理に対応しております。
🟪 写真掲載について
本記事は、お客様のプライバシー保護および現場特定の防止を目的として、施工中・修理後の写真を一部または非掲載としています。掲載している場合は、周囲が特定できない範囲に限定しています。周囲の建物や車両、門扉などから住所や個人が特定されるおそれがある場合は、写真を公開せず、文章による説明のみを掲載しています。
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竣工日
2025年1月
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場所
千葉県印西市
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施工内容
①漏水調査工 ②漏水修理工 ③現状復旧工(コンクリートの打設)
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構造
木造2階建て住宅
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完工時築年数
築30年
お客様の声
地面が乾いていて、どこからも音がしなかったので本当に漏れているのか半信半疑でした。
調査で原因をはっきり突き止めていただき、水道料金も元に戻りました。
家を壊さずに修理してもらえて安心しました。

