千葉県白井市|トレーサーガス調査で特定した微細漏水|井戸ポンプ圧力タンク故障の複合事例

🟩 千葉県白井市|漏水調査事例【井戸水】【砂質地盤】

白井市の戸建住宅において、井戸ポンプの異常運転を契機に実施した漏水調査の事例です。地表に濡れ跡が一切現れない砂質地盤の環境下で、トレーサーガス調査と圧力挙動観測を併用し、微細な漏水と機器不良を同時に解明しました。

🟧 要 点
◾ 調査手法:水素系トレーサーガス法+音聴調査+圧力挙動観測の併用
◾ 発見内容:井戸配管エルボ部の線状亀裂による微細漏水を特定
◾ 併発症状:圧力タンク内部ゴム膜破損/圧力スイッチ接点焼損
◾ 調査日数:1日(調査・修理同日完了)
◾ 環境条件:砂質地盤・透水性が高く音・ガス反応ともに微弱
◾ 難易度:高(音・水の反応が現れにくい環境)

🟦 基本情報
◾ 千葉県白井市|築40年|木造2階建|生活用水・農地散水兼用|井戸水
◾ 漏水量:1分間あたり300mL未満(微細漏水・地表反応なし)
◾ 漏水箇所:井戸配管エルボ継手部(線状亀裂)
◾ 漏水数:1箇所
◾ 調査期間:初動確認+本調査・修理 1日

🟦 現場状況
◾ 敷地形状:住宅と農地が隣接し、外水栓が四隅に設置された広い敷地
◾ 地盤条件:砂質土壌で透水性が高く、漏水が地表に現れにくい
◾ 配管構成:複数回の改修履歴あり・配管経路図なし
◾ 路面状況:一部コンクリート舗装・大部分が砂地面
◾ 音環境:ポンプ運転中は通水音が支配的で音聴調査が困難

🟦 家屋と設備状況
◾ 家屋構造
▪️ 木造2階建て(母屋+倉庫併設)
▪️ 築40年

◾ 設備構成
▪️ 浴室(ユニットバス)
▪️ トイレ×2、洗面台×2
▪️ 台所・洗濯機水栓
▪️ ガス給湯器
▪️ 外水栓柱×3

◾ 給水設備
▪️ 深井戸用水中ポンプ:テラル 25TWS-5.6S-11
▪️ 単相100V/出力600W/使用12年

🟦 構 成
◾ 第1章|ご依頼の背景と現場概要
◾ 第2章|初動確認と異常挙動の把握
◾ 第3章|トレーサーガス調査と特定工程
◾ 第4章|修理工事と復旧確認
◾ 第5章|調査結果と考察
◾ 第6章|総評とコメント
◾ 第7章|お客様の声と担当者コメント


🟩 第1章|ご依頼の背景と現場概要
本章では、調査のきっかけとなった異常の経緯と、現場の立地・地盤条件を整理します。井戸ポンプを使用する環境では、わずかな異常の兆候が漏水の早期発見につながるため、ご依頼時の状況把握が非常に重要です。

🟦 電気代上昇とポンプ異常から始まった調査
白井市の住宅では、生活用水と農地散水を兼用する井戸ポンプを使用していました。夏場以降、電気代が急増し、ポンプが夜間も頻繁に起動するようになったことから、所有者様が異常を感じられたのがきっかけでした。散水時間の長さが要因と思われていましたが、散水シーズン終了後も電気料金が下がらず、「使っていないのにポンプが動く」現象が続いたためご依頼となりました。

🟦 砂質地盤による無音漏水の懸念
現地は砂質土壌で透水性が高く、漏水が地表に現れにくい条件でした。濡れ跡やぬかるみが全くなく、音聴でも反応が得られにくいため、非破壊型のトレーサーガス調査を選定しました。


🟩 第2章|初動確認と異常挙動の把握
ここでは、調査初期に行った圧力・音・設備の確認結果をまとめます。井戸ポンプや圧力タンクの挙動は、漏水の有無を判断する上で重要な手掛かりとなります。

🟦 圧力計の動きから内部異常を把握
調査前に井戸ポンプと圧力タンクを確認。ポンプ停止後も圧力計の針がゆっくり低下し、一定値で静止する挙動を確認しました。これは内部の圧力が抜けきらない「非排出型圧損」であり、配管内部の気密抜けと機器不良の双方が疑われました。

🟦 音聴調査の限界
外水栓や屋外配管を順に点検したものの、音や濡れ跡は確認できませんでした。敷地が広く、配管が農地まで延びているため、広範囲でのガス注入が必要と判断しました。


🟩 第3章|トレーサーガス調査と特定工程
本章では、実際に行ったトレーサーガス調査の手順と、加圧条件の調整、反応の強弱による特定までの工程を詳述します。微細漏水の検出には、注入圧と音の変化を組み合わせた多段階観測が効果的です。

🟦 第1段階:路面音聴と初回注入
まずポンプを停止し、推定経路上で路面音聴を実施。全域で通水音が支配的に響き、漏水音は検出できませんでした。続いて水素系トレーサーガスを0.20MPaで注入。地表反応を観測すると、砂質地盤特有の拡散が生じ、広範囲で反応を検知しました。

🟦 第2段階:加圧とガス音検出
範囲を絞るため注入圧を0.25MPaに上げ、地中音聴棒を使用。ガス音の強弱を比較し、最も鋭い音を示す位置を中心に掘削しました。掘削によりVP管エルボ部を露出させ、線状亀裂を確認。漏水は細い筋状に地中へ拡散しており、地表反応が弱かった理由が明確になりました。

🟦 第3段階:修理後の再確認
修理後に再注入を行い、ガス反応が完全に消失したことを確認。同時に圧力挙動を再測定し、ポンプ停止後も圧力が安定することを確認しました。


🟩 第4章|修理工事と復旧確認
ここでは、漏水箇所の補修作業と、機器交換・復旧試験の結果をまとめます。再発防止のため、部材選定と動作確認の両面から対応しました。

🟦 漏水部の修理内容
亀裂の生じたVP管エルボ部を切除し、耐衝撃性塩ビ管(HIVP)で再接続。通水試験では漏れがなく、圧力計の針が停止後も動かないことを確認しました。

🟦 圧力タンクの交換
点検によりタンク内部のゴム膜が破損し、水が満水状態に。空気層が消失したため、圧力変動を吸収できずポンプが頻繁に起動していました。新品タンクに交換後、圧力計の針は安定し、異常作動が解消。

🟦 圧力スイッチの交換
接点の焼損によって導通不良が起きており、ポンプが停止しない症状を確認。新品交換により正常制御に復旧しました。

🟦 全体動作の確認
修理後の圧力・電流値はともに安定。ポンプの起動回数が大幅に減少し、電気代上昇の要因が完全に解消しました。


🟩 第5章|調査結果と考察
調査を通じて得られた現象を整理し、圧力挙動・地盤条件・機器劣化の関係を考察します。複数の要因が重なる場合でも、段階的な検証により原因を正確に把握することが可能です。

🟦 漏水と機器不良の連鎖
配管亀裂による圧力低下がポンプの頻繁な起動を招き、その負荷でタンク内部のゴム膜が破損し、さらにスイッチ接点が焼損。漏水と機器劣化が互いに悪循環を生み出す典型例でした。

🟦 圧力挙動の特徴
圧力タンクの空気層が失われると圧力が均衡状態に達して針が途中で止まります。外部漏水がないのに圧力が変化し続ける“擬似漏水現象”であり、井戸設備特有の誤判定要因となります。

🟦 砂質地盤でのガス拡散挙動
砂質地盤では、ガスが縦横に拡散し、漏水点以外でも検知されることがあります。地表濃度のみでは特定できないため、音聴棒での地中ガス音確認が重要。今回は音のピークを捉えて効率的に掘削位置を決定しました。


🟩 第6章|総 評
本章では、白井市で実施した調査の全体を振り返り、発生要因の関係性と、採用した調査手法の有効性を整理します。漏水と機器不良が同時進行していた複雑な事例を通じて、判断の流れと再発防止に役立つ考え方をまとめました。

🟦 異常挙動から始まった複合要因の調査
本事例は、井戸ポンプの異常運転をきっかけに実施した調査から、機器不良と配管漏水が複合的に関係していたケースです。
現象としては「ポンプが短時間で頻繁に起動する」「水の使用がないのに電気代が上がる」という症状が先行し、現場では水音や濡れ跡などの目視反応がまったく得られませんでした。

🟦 地中に滲む“無音漏水”の背景
砂質地盤のため、地下で発生した漏水が速やかに地中へ浸透し、表層に現れない“無音漏水”となっていたことが原因でした。また、圧力タンク内部のゴム膜破損とスイッチ接点の焼損が同時に生じ、機械的な不具合と漏水による圧力損失が相互に影響していたことが確認されました。

🟦 圧力挙動観測とトレーサーガスの有効性
調査では圧力挙動の観測によって非排出型圧損を特定し、その後トレーサーガス法を併用することで、VP管エルボ継手部の線状亀裂を高精度に検知しました。非破壊かつ短時間で特定に至った点は、過去の事例と同様に「段階的な判断の有効性」を裏付ける結果となりました。

🟦 修理後の安定化と得られた知見
修理後は圧力が安定し、ポンプの異常作動も解消。電力消費の減少も確認されました。音や濡れ跡がない場合でも「挙動の変化」や「電気代の増加」などの二次的兆候を手がかりに、体系的に検証を行うことで、無駄な掘削を防ぐことが可能です。

🟦 まとめ
砂質地盤や複合不良が関係するケースでは、圧力挙動観測とガス調査の併用が極めて有効です。異常挙動を軽視せず、段階的に検証を進めることで、最小限の破壊範囲で確実な特定が実現できます。


🟩 第7章|お客様の声と担当者コメント
🟦 お客様の声
「地面も濡れていないのにポンプが動いていたので、不思議に思っていました。まさか外流し台の下で漏れているとは思わず、本当に驚きました。丁寧に調べていただき、どこを直すのかを分かりやすく説明してもらえたので安心できました。外流し台も新しくなって、使い勝手が良くなりました。」

🟦 担当者コメント
今回の現場は、地面が乾いたままの状態でポンプが作動するという、判断が難しいケースでした。厚いコンクリート構造の下で漏水が進行しており、ガス反応も弱かったため、通常の音聴調査では発見が困難な条件でした。それでも段階的な検査を重ね、確実に特定と修理に至ることができました。

造り付け構造の下で発生する微細漏水は、音・濡れ・気泡といった兆候がほとんど表れず、発見が遅れやすい特徴があります。今回のように、初期段階でポンプの動作異常に気づき、早めにご相談をいただけたことが、掘削範囲を最小限に抑えた修理につながりました。

井戸ポンプ設備では、水が漏れていなくても圧が下がる「非排出型圧損」が起こることがあります。このような現象を正確に見極め、漏水との因果を整理することが、長期的な安定運転を支える第一歩となります。小さな違和感の段階でご相談いただくことが、最も効果的な対策です。

🟪 ご案内
井戸水を利用した住宅では、配管や給湯機器の内部で不具合が進行しても外からはまったく気づけないことがあります。音がしない・地表が乾いている・ポンプがときどき動く・湯温が安定しない ― こうした小さな違和感が、漏水や水圧低下の初期兆候であることも少なくありません。

早期に調査を行えば、コンクリート下や地中深部に広がる漏水も、破壊を最小限に抑えて修理することが可能です。井戸ポンプの動作や給湯の温度変化に違和感を感じた際は、まずはご相談ください。

当社では、印西市・富里市・白井市・成田市・佐倉市・八街市・四街道市・栄町など印旛地域を中心に、千葉県全域で井戸ポンプ・漏水調査・修理対応を行っています。設備の種類や築年数を問わず、現場状況に最適な方法で特定・修理を行い、長く安心してお使いいただけるようサポートしています。

🟪 写真掲載について
本記事はお客様のプライバシー保護および現場特定の防止を目的として、施工中・修理後の写真を一部または非掲載としています。掲載している場合は、周囲が特定できない範囲に限定しています。周囲の建物や車両、門扉などから住所や個人が特定されるおそれがある場合は、写真を公開せず、文章による説明のみを掲載しています。

  • 竣工日

    2025年5月

  • 場所

    千葉県白井市

  • 施工内容

    ①漏水調査 ②漏水修理 ③井戸ポンプ修理

  • 構造

    木造2階建て住宅

  • 完工時築年数

    40年

お客様の声

「ポンプが頻繁に動くのが気になり相談しました。音も濡れ跡もなく不安でしたが、丁寧に原因を調べていただき安心しました。修理後は動作も静かで、水の勢いも安定しています。」

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