勢いか、省エネか?深井戸水中ポンプ「テラルTWS型 vs 川本UF3形」の選び方

画像:テラル TWS型 25TWS-5.45Sシリーズ


深井戸用水中ポンプ|定圧給水式とインバーター式の違い

〜テラルTWS型と川本UF3形を比較した場合の考え方〜


深井戸用水中ポンプは、家庭用から農業用・小規模施設まで広く使用されている揚水設備です。

特に単相100V・600Wクラスは最も使われることの多い出力帯ですが、「定圧給水式で良いのか、インバーター式を選んだ方が良いのか」で悩まれる方が多いのが実情です。


今回は**定圧給水式(テラルTWS型)とインバーター式(川本UF3形)**を、実務ベースで比較しながら「勢いを重視するのか、省エネ性を重視するのか」という観点でわかりやすく解説していきます。



■ 定圧給水式(テラルTWS型)の特徴

定圧給水式は、モーターを常に一定回転で動かし続ける方式です。

蛇口をひねった瞬間から安定した水圧を得られるのが最大のメリットで、特に複数の蛇口を同時に使うような家庭や小規模農家で高く評価されています。


主なメリット

  • 吐水初速が速く、常に一定の勢いで水が使える
  • 構造がシンプルでメンテナンス性に優れる
  • 消耗部品が少なく、ランニングコストを抑えやすい


主な短所

  • 少量使用時でも全開運転のため、省エネ性はインバーター式に劣る
  • 現場より能力が大きい機種を使うと減圧弁が必要(長期間運転すると圧力スイッチ等が早く故障する)


■ インバーター式(川本UF3形)の特徴

主な長所

  • 使用水量に応じて回転数を自動調整 → 省エネ運転が可能
  • 定圧給水式より揚水性能が高い
  • 運転水位に応じた圧力設定(川本は3段階)が可能→現場に合わせた設定が可能となり、制御装置に無理な圧力を掛けることを回避でき、故障を防げる。


主な短所

  • 制御基板が高価なため、故障時の交換費用が大きい
  • 基板構造が複雑なため、故障原因が把握しにくいケースもある
  • 少量使用時は回転数が下がるため、水の勢いが弱く感じられる場合がある


インバーター式深井戸用水中ポンプは、制御基板によって使用水量に応じて段階的にモーター回転数を調整できる仕組みになっています。


少量使用時は低回転、使用量が増えれば中回転・高回転へと自動的に切り替わるため、必要な水量に応じた運転が可能となり、省エネ性にも優れます。


このとき「どこまで回転数を上げてよいか(上限)」は、据付時に井戸の運転水位に合わせて業者が設定しておく項目で、

その範囲の中で「少量→低回転/中量→中回転/大量→高回転」という制御が働きます。


据え付け時に行うこの設定は、**現場の井戸水位とポンプ能力に対して制御装置に過剰な負荷が掛からないよう“回転数の上限を決めておくための設定”**です。


※使用者が“水の勢いを強くしたい”という目的で自由に回転数を上下させるものではありません。


■ 圧力設定に関する注意点

インバーター式には「圧力設定を変更できる」という機能がありますが、これは水の勢いを調整するための機能ではありません。


深井戸水中ポンプでは、運転水位が浅いと管内圧力が必要以上に高くなり、

圧力タンクや圧力スイッチなどの電装部品に負荷が掛かります。

したがって、普段使用している水位・将来的な水位低下・使用水量を考慮したうえで、機種・据付位置・設定値を判断することが最も重要です。


「今より勢いを強くしたいから」と圧力設定を上げるのは誤りであり、

その場合はそもそもポンプの能力が現場に合っていない可能性を考えるべきです。


※単相100V仕様は最大600Wまでです。それ以上の能力が必要な場合は、三相200V仕様(750Wクラス以上)への機種変更が必要です。


■ 定圧給水式がオーバースペックとなる場合の注意

定圧給水式は機種バリエーションが多く、現場に合わせて細かく選定できますが、

能力が大きすぎる機種を据え付けた場合には減圧弁で圧力を下げた状態で使い続けることになります。


その場合、

・圧力スイッチ

・フロースイッチ

・圧力タンク

など主要部品に常時大きな負荷が掛かるため、3〜5年ほどで故障が連続することが多くあります。「勢いがあるからこの機種で良い」という安易な判断は、結果として井戸ポンプの寿命を縮める原因になります。


■ 選び方のポイント

まず、「水の勢いを優先するか」、「省エネ性を優先するか」を決めることが選定の第一歩です。次に、今使っているポンプで“水量や水圧に過不足があるかどうか”を基準にして、機種を上位にするか、それとも現状レベルで据え付けるかを判断することが大切です。

※安易に上位機種へ切り替えると、井戸内に砂を巻き込みやすくなる可能性があるため、慎重な選定が必要です。


<補足説明>

どちらの方式も優れていますが、

「普段使用する水位」、「将来的な水位低下」、「使用水量」、「据付位置」の4つに対して機種の能力が合っているかどうかが最も重要です。

また、回転数設定や圧力設定で帳尻を合わせるのではなく、最初の機種選定が最も大切であるという点を忘れないようにしてください。


■ 結論

深井戸水中ポンプは、次の3つの視点から選定することが基本になります。


① 揚水性能を優先するか、コスト(費用面)まで考えるか

  • 揚水性能の高さ+インバーター制御を優先 → 川本ポンプ(UF3形)
  • 定圧給水・水圧の安定性・ランニングコストを優先 → テラルTWS型


② 使用目的に合わせて「タイプ」を使い分ける

  • 水の勢い・吐水初速を重視 → 定圧給水式(テラルTWS型)
  • 省エネ性・高い揚水性能・段階的な回転数制御を重視 → インバーター式(川本UF3形)


③ 一般家庭においてお使いになる場合

  • インバーター制御を望まない → テラルTWS型
  • 将来的に制御基板の更新費用を理解した上で省エネを重視したい → 川本ポンプ(UF3形)


このように

「①全体方針 → ②方式 → ③家庭での現実的な選び方」
という順番で整理していくと、最適な機種が判断しやすくなります。



■ まとめ(重要なポイント)

インバーター式深井戸用水中ポンプの回転数は、使用水量に応じて自動的に段階的に変化する仕組みであり、使用者が“水の勢いを強くしたい”という目的で自由に回転数を上下させるためのものではありません。


据え付け時に行う設定は、**現場の井戸水位とポンプ能力に対して制御装置に過剰な負荷が掛からないよう「回転数の上限をあらかじめ決めておく設定」**であり、使用者が任意に強弱を調整するための設定ではありません。



■ さいごに

深井戸水中ポンプは“勢いを取るか、省エネを取るか”だけで選ぶべき設備ではありません。

井戸水位は使えば必ず低下します。水位・使用量・据付位置に対して機種が適切であることが、長く安定して使用するための何よりの条件です。


「水が出ているから問題ない」という判断ではなく、現場に合ったポンプを選ぶことが結果的に故障を減らし、寿命を延ばします。



◇参考資料

  • 性能曲線

◇梱包物の紹介

①地上ユニット部(水中ポンプの制御装置一式)



②水中ポンプ(付属品含む)

右上から

・水中ポンプ(電源コード含む)

・水中ポンプ吊り下げ用ロープ


右下から

・井戸蓋

・揚水管固定バンド



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