◆はじめに
深井戸用水中ポンプをオーバーホールしました。
メーカーは、三菱多久電機(現テラル)です。
機種は、「HP-405A」(単相100V・出力400W)です。
◆オーバーホールの目的
自社倉庫で使用していた深井戸用水中ポンプの羽根車部が水垢付着によりロックされてしまい、動かなくなってしまいました。
ポンプを引き上げて点検を行った結果、30年近く前の機種ですが使用頻度が低いこともあり、まだ使用できる状態でした。
元々、工事後の試運転用として使っていたものを自社倉庫に移設したこともあり、実質15年程の使用年数です。そのため、オーバーホールして今後も使用することにしました。
当ポンプの羽根車部の材質は樹脂製品で安価ですので、オーバーホールができました。現行品の羽根車部は全てステンレス製品になっているためにとても高額です。そのため、現行品ではパーツ交換は行わず、羽根車部の分解清掃のみを行っています。
◆オーバーホールするポンプについて
この井戸ポンプは深井戸用水中ポンプです。水の中にポンプを据え付け、水中から地上へ押し上げる様に水を汲み上げます。およそ30年前の機種で、15年ほど使用しています。
この水中ポンプはおもにモーター部、羽根車部、回転軸部から構成されています。
モーター部と羽根車部は回転軸部を介して接続されていて、モーターの回転と同時に羽根車が回転して水を吸い込み、地上に押し上げています。また羽根車内部の水路は渦巻き状の形をしていて、10枚で構成されています。
羽根車部が回転すると取り込まれた水は渦を巻く様に羽根車の中を一枚づつ流れ、その過程で段々と圧力が掛けられ、地上に押し上げられます。羽根車部の枚数が多いほど圧力がかかり、羽根車部の水路が広いほど水量が増えます。
そのため水中ポンプのラインナップには、高い圧力が掛る機種と多くの水量が出る機種が設けられています。
また吐水圧一定式のポンプであるため、モーターの回転数が基板で制御されることが無く、常に最大(一定)の回転力で動きます。
そのためインバーター式の様に、蛇口の開栓数に応じて自動的にモーターの回転数が多くなり、吐水量と吐水圧が増すことはありません。
利点は常に最大(一定)の回転数をもって作動するため、開栓数が少ないほど高い圧力の水を得ることが出来ます。欠点は、少ない水量を利用する場合においても最大(一定)の回転数で作動するため、インバーター式に比べて電気料金は高くなり、モーター部の消耗が大きくなります。
都市部ではインバーター式が好まれ、地方部では吐水圧一定式が好まれる傾向があります。
↓オーバーホール前
↓羽根車部の取り外し後
左側:ケーシング(羽根車部の外装部) 中央:羽根車部 右側:水中ポンプのモーター部
↓取り外した羽根車部一式(10組)
↓羽根車部の交換部品一組
↓羽根車部の取付中
↓羽根車部の取付完了
↓オーバーホール完了
↓揚水試験状況
◆オーバーホールした井戸ポンプの情報
・メーカー:三菱多久電機(現テラル)
・シリーズ名:深井戸用水中ポンプ HP型
・型式:HP-405A
・出力:400W
・電源:単相100V
・その他:定圧給水式
・使用年数:約15年
・生産中止年月:1996年3月