【オーバーホール事例】テラル製深井戸水中ポンプ~25TWS-5.6S-11・100V~


◆はじめに

これまで試運転用に使っていた深井戸用水中ポンプをオーバーホールしました。

メーカーは、テラル(TERAL)です。

機種は、「25TWS-5.6S-11」(単相100V用)です。


◆オーバーホールの目的

長い間、試運転用のポンプとして使用してきたため、点検を兼ねてオーバーホールすることにしました。オーバーホール後の使い方は、ポンプが故障して水が出ない現場で一時的に使用して頂こうと考えています。

おもに、「直ぐに交換工事が出来ない場合」や「部品交換で対応出来ない故障の場合」などの緊急時を想定しています。


◆オーバーホールするポンプについて

この井戸ポンプは、深井戸用の水中ポンプです。

水中ポンプは水中に沈め、吸い込んだ水を地上へ押し上げる様に汲み上げます。

※ジェットポンプは地上にあるモーター部が水を吸い上げる様に汲み上げます。


①水中ポンプは、モーター部と羽根車部に大分され、連結棒で噛み合う様に結合されることでモーター部の回転が羽根車部に伝わり、水を汲み上げることができます。


②常に最大の回転数をもって作動する吐出量一定式のポンプのため、インバーター式とは異なり、モーターの回転数が基板で制御されることなく、常に一定で水を汲み上げることができます。そのため、蛇口の開栓数に応じて自動的にモーターの回転数が多くなり、吐水量と吐水圧が増す様なことは起きません。


③常に最大の回転数をもって作動するポンプであるため、インバーター式に比べて電気代が高いのが欠点です。インバーター式は、蛇口の開栓数に応じて自動的にモーターの回転数が多くなり、吐水量と吐水圧が増していくため、電気代が抑えられます。



◆オーバーホールの内容

①地上部ユニット部の分解・清掃・点検・試運転調整

・構成部品を全て取り外し、水洗いを含めた清掃を行い、砂汚れなどを取り除く。

・ポンプの起動・停止に係る部品の点検(圧力スイッチ、フロースイッチ、圧力タンク)

・制御基板に繋がる電線コネクターを取り外し、接点部の腐食を取り除き、通電状況を良好に保つ作業を行う。

・各種パッキンの新調。


②水中ポンプ部の分解・清掃・点検・調整試運転

・井戸ポンプのモーター部と羽根車部を分解しながら状況点検を行う。

・羽根車と周辺部品全てを水洗い清掃し、水垢汚れを取り除く。

・モーター部と羽根車部を組付けながら点検と調整を行う。

・実際に水を汲み上げる試運転調整を行う。



◆大まかな作業の流れ

先ずは台座から電気部品、制御基板、アキュームレーター、その他周辺部品を取り外し、清掃、グリスアップ、注油、パッキン交換を行い、主要部品に移っていきます。


↓①台座から各種部品を取り外す


↓②構成部品の水洗い清掃(台座、通水路、各フランジ及びパッキン、その他)


↓③各種部品の点検および組付け


↓④揚水試験


◆代表的な作業について

①ポンプのON・OFF指令を出す圧力スイッチやフロースイッチ

分解清掃すると共に、設定部の錆を取り除きます。その後、ONとOFFの指令を出しているかの動作点検を行います。当部品は、錆の取り除きが難しい場合や試運転の中で動作が不安定であった場合は交換します。

※今回は、試運転用に使用してきたために大きな劣化がありませんでしたので、部品交換には至りませんでした。


②ポンプを制御する基板

焼き付け故障部が無いかに留意しながらほこりを取り払い、汚れを取り除きます。その後、各コネクターを取り外し、設定部に錆が付着しているかの点検と接点清掃を行います。


これらの作業が終わりましたら各部品を組み合わせ、ポンプの絶縁抵抗測定を行います。適正値であることを確認し、試運転の工程へ進みます。


③揚水試験

水槽に貯めた水を井戸ポンプで吸い上げ、その水を水槽に戻していきます。


この水の吸い上げと吐き出しを繰り返しながら機械内部の汚れを取り除いていくと共に、モーターの音、吐き出される水の状況、ポンプの起動と停止状況、各接続部からの水漏れが無い事などを確認し、問題がなければ終了です。



◆オーバーホールした井戸ポンプの情報

・メーカー:テラル(TERAL)

・シリーズ名:深井戸用水中ポンプ TWS型

・型式:25TWS-5.6S-11

・出力:600W

・電源:単相100V

・その他:定圧給水式


◆交換した消耗部品

・各種パッキン

・各種ボルト


◆不具合があり、交換した部品

・アキュームレーター


◆接点部清掃や調整を行った部品

・圧力スイッチ

・フロースイッチ