【事例解説】川本ポンプJF-750のオーバーホール|深井戸ジェットポンプの故障対策とメンテナンス方法

【深井戸ジェットポンプ修理事例】川本ポンプJF-750のオーバーホール内容と目的とは?


◆はじめに

深井戸用ジェットポンプをオーバーホールしました。

メーカーは、川本ポンプ(川本製作所)です。

機種は、「JF-750」(三相200V用)です。


◆オーバーホールの目的

オーバーホールの目的は、ポンプが故障して水が出ない現場で一時的に使用して頂くためです。

おもに、「直ぐに交換工事が出来ない場合」や「部品交換で対応出来ない故障の場合」などの緊急時を想定しています。


ジェットポンプの場合、井戸の中にあるジェット部が正常であれば、揚水管を引き上げることなく、地上に設けてあるポンプ部のみの交換で使える様になるのが利点です。


◆オーバーホールするポンプについて

この井戸ポンプは、浅井戸と深井戸の兼用ポンプです。

ポンプ吸い込み部のアッタッチメントを切り替えることで「浅井戸」でも「深井戸」でも使用が可能になります。

※上部の写真には、深井戸ジェットポンプのアタッチメントが接続してあります。


また、インバーター式ポンプであるため、モーターの回転数が基板で制御されます。

そのため、蛇口の開栓数に応じて自動的にモーターの回転数が多くなり、吐水量と吐水圧が増します。


利点は、蛇口1箇所、2箇所位の使用ではモーターの回転数が最大となりませんので、常に最大の回転数をもって作動する吐水圧が一定式のポンプに比べて電気代が安くなり、モーターの消耗が抑えられます。



▼作業風景


▼絶縁抵抗値測定

◆作業の流れ

作業は、台座からモーター部と制御基板を取り外した後、電気部品、モーター冷却ファンカバー、その他周辺部品を取り外し、清掃、グリスアップ、注油、パッキン交換を行い、主要部品に移っていきます。


◆代表的な作業について

①ポンプのON・OFFの指令を出すファインセンサーの点検

分解清掃すると共に、設定部の錆を取り除きます。その後、ONとOFFの指令を出しているかの動作点検を行います。

当部品は、錆の取り除きが難しい場合や試運転の中で動作が不安定であった場合は交換します。

※今回の場合は、不良でしたので新品部品に交換となりました。


②ポンプを制御する基板(インバーター式)の点検

焼き付け故障部が無いかに留意しながらほこりを取り払い、汚れを取り除きます。その後、各コネクターを取り外し、設定部に錆が付着しているかの点検と接点清掃を行います。


③「各部品を組み合わせ」と「ポンプの絶縁抵抗測定」

各部品の組み合わせ後、ポンプの絶縁抵抗測定値を行い、適正値であることを確認し、試運転の工程へ進みます。


◆試運転について

試運転では、水槽に貯めた水を井戸ポンプで吸い上げ、その水を水槽に戻していきます。

この水の吸い上げと吐き出しを繰り返しながら機械内部の汚れを取り除いていくと共に、モーターの音、吐き出される水の量と圧力、ポンプの起動と停止具合、各接続部からの水漏れが無い事などを確認します。問題がなければ終了です。

※試運転は、深井戸用のアタッチメントを浅井戸用に切り替えて行いました。


↓試運転前(ポンプの設置状況)


↓試運転前(ポンプ、揚水管、吐き出し管の設置状況)


↓試運転中

※水槽に貯めた水をポンプで吸い上げ、吐き出すことから、ポンプの状態を確認します。


▶オーバーホールした井戸ポンプの情報

・メーカー:川本ポンプ

・シリーズ名:カワエースシリーズ JF形カワエースジェット(浅深兼用)

・形式:JF-750

・出力:750W

・動力電源:三相200V

・その他:インバーター式


▶オーバーホールにて交換した部品

・ファインセンサー

・アキュームレーター

・各種パッキン